投稿者 スレッド: 油断も隙もありゃしない マイナカードのドサクサに自公は殺傷武器輸出解禁へ  (参照数 87 回)

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油断も隙もありゃしない マイナカードのドサクサに自公は殺傷武器輸出解禁へ|日刊ゲンダイDIGITAL
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/325605

「自民党に声が届いていないと国民が感じ、政治の根幹である信頼が崩れている」「岸田文雄の特技は『人の話をよく聞く』ということだ」

 およそ2年前に行われた自民党総裁選前後の会見でこう繰り返し、国民に向かって「聞く力」を強くアピールしていたのは岸田首相だった。

 それまでの独善的な安倍・菅政権の政治とは異なり、いかにも国民生活に寄り添うかのような触れ込みだったが、蓋を開けてみれば結局、前任者と変わらず。いや岸田の方が偽善者ヅラしている分だけ安倍、菅よりもタチが悪いと言っていいだろう。どれほど問題が起きようとも知らんふり。結論ありきで突き進み、責任も取らず何でも強行する。悪政の典型だ。

 トラブルが続出しているマイナンバーカードの問題もそうだ。「人の話をよく聞く」というのであれば、いったん立ち止まって制度設計からやり直し、国民の信頼を得る仕組みに改めればいいのに「総点検」などと言うばかりで反省はゼロだ。

 そうかと思いきや、マイナンバーカードの混乱の裏では、地元漁協らが猛反対している東京電力福島第1原発の放射性物質トリチウムを含む処理水の海洋放出を今夏にも強行しようと前のめり。IAEA(国際原子力機関)が示した「(海洋放出は)国際的な安全基準に合致する」とした報告書を公表し、「問題なし」という世論づくりに躍起になっている。

■民主主義の正当性が問われている

 国民世論の注意、関心が別の方に向いている間に他の大きな政治課題にこっそり手を付ける。

 全く油断も隙もありゃしないが、マイナンバーカードのドサクサに紛れて福島原発処理水の海洋放出を強行しようとしている以上に問題なのが、防衛装備品の輸出ルール緩和に向けた動きだろう。

 自民、公明両党は5日、開いた防衛装備品をめぐる実務者協議で、現在は日本と安全保障面で協力関係にある国などに限定されている輸出対象国について、防衛装備移転三原則を定めた閣議決定文の前文に「国際法違反の侵略を受けた国への支援」を明記するよう求める報告書を両党の政調会長に提出した。

 報告書にはまた、英国、イタリアと共同開発する次期戦闘機を念頭に、日本が他国と共同開発・生産した装備品の第三国移転を認める意見が大半を占めたことも記載。現在、装備品の輸出が認められている「救難、輸送、警戒、監視、掃海」の5類型を巡っては、自民党がこれを撤廃し、殺傷能力を持つ装備品輸出を可能にすべきだと主張。これに対し、公明党は地雷除去や教育訓練などの項目追加にとどめるよう求め、報告書は両論併記となったのだが、「殺傷能力のある装備品の輸出は認められない」とする今の政府解釈に関する論点整理について、自公が「密室協議」で次々と決めているなんて、どう考えても近代国家の姿じゃない。民主主義の正統性もへったくれもないだろう。ジャーナリストの横田一氏がこう言う。

「重要なことを密室で勝手に解釈を変えてしまうのはアベ政治の手法そのものですが、とりわけ武器輸出については慎重であるべきです。なし崩し的に決めていいはずがない。自民党の村上元行革担当相が5日付の毎日新聞夕刊で指摘していましたが、今の岸田政権はハト派ではなく、安倍政権以上にタカ派。国民もその動向を注視する必要があるでしょう」

平和国家から死の商人へ変わりつつある
繰り返すが、「殺傷能力のある武器輸出」に関してはこれまで、政府・与党は共同開発・生産を除いて「できない」としてきたものだ。戦後の日本は「平和国家」を掲げ、これを国是とし、武力による紛争解決を禁じた。政府は1970年代までに武器輸出三原則を確立。以来、「全面禁輸策」の姿勢を貫いてきた。

 安倍政権が2014年に防衛装備移転三原則に変更したものの、共同開発を除く輸出は、救難、輸送、警戒、監視、掃海の5類型に限定し、殺傷能力のある武器は輸出できない、としてきたのだ。

 だが、昨年12月、岸田内閣が改定した「国家安全保障戦略」に武器輸出の制限見直しが明記され、要件緩和のための与党協議が本格化した途端、「5類型に殺傷能力のある武器は含まないとする解釈は確定していない」などと言い出したからワケが分からない。

 しかも、なぜ、突然、これまでの解釈が変わったのか。憲法との整合性をどう考えるのかという問題について、自公の実務者協議の内容は一切分からず、どんな議論を経たのかも謎のままというデタラメ。

 殺傷能力のある武器輸出の解禁は、国際紛争の助長につながりかねない上、日本が紛争の当事者として巻き込まれる可能性もあるだろう。戦後の日本がコツコツと築き上げてきた平和国家に対する国際的な信頼だって失いかねないのだ。

■「戦争する国づくり」の動きが顕著に

 それなのに与党も岸田政権も平気の平左。防衛装備移転三原則であれば、国会審議を経ずに閣議決定で好き勝手に改定できると考えているのだろう。前出の横田氏が指摘した通り、安倍政権以降、続いている独裁政治の手法だ。

 敵基地攻撃能力の保有を打ち出し、5年で総額43兆円という防衛予算の倍増に加え、殺傷能力のある武器輸出も拡大する。

 さらに武器を生産する国内企業の設備投資や輸出関連経費を、国が助成する法律も成立させるなど、今の日本の姿は、どこをどうみても平和主義や専守防衛を捨て去り、軍事大国化へとまっしぐらだ。

 そして、その旗振り役を先頭に立って務めている岸田なのだが、そんな男が11日からリトアニアで開かれるNATO首脳会議に出席すれば、世界はどんな目を日本に向けることになるのか。ちょっと考えれば分かるはずだ。

 安倍政権以降続く「戦争する国づくり」は岸田政権になって、よりその動きが顕著になってきた。本来であれば、戦争国家へ急ぐ岸田政権は放逐が必要と、今こそメディアが世論形成し、厳しい姿勢で臨むべきなのだが、そんな声は聞こえてこない。むしろ、「タブーなき議論が始まった」などと報じているメディアもあるからクラクラする。

 武器取引反対ネットワークの杉原浩司代表はこう言う。

「平和国家から死の商人国家へと、これまでの日本の形が変わるような重大なことを与党の密室協議で決め、その議論の内容すら国民には分からない。本当にメチャクチャな政治です。少なくとも国会できちんと時間をかけて丁寧に議論するべき。主権在民の民主主義国家として、こうしたやり方は許しがたく、到底認めることはできません」

 岸田は今こそ、「政治の根幹である信頼が崩れている」という自身の言葉をかみしめるべきだ。