投稿者 スレッド: 「戦争する国」にまっしぐら 対立を煽り軍拡を急ぐ岸田首相でいいのか  (参照数 147 回)

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「戦争する国」にまっしぐら 対立を煽り軍拡を急ぐ岸田首相でいいのか
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/320633

また「G7議長国」をアピールだ。岸田首相は26日、防衛大学校の卒業式の訓示
で自身のウクライナ訪問に触れ、「ロシアによる侵略の惨劇を直接、目の当た
りにし、これを繰り返さないために侵略を一刻も早く止めなければならないと
いう決意を新たにした」と語った。さらにウクライナ支援や対ロ制裁を継続す
る考えを表明し、こう力説してみせた。

「G7議長国として5月の広島サミットなどの機会を通じてG7の結束を主導し、
法の支配に基づく国際秩序を守り抜く決意を示したい」

 殊更G7議長国を強調し、すっかり世界のリーダー気取り。高揚しきっている
岸田に引っ張られるように、政府・自民党内では「この国のかたち」を大きく
歪める議論が急ピッチで進んでいる。

 ゼレンスキー大統領との会談で岸田は殺傷能力のない装備品の支援へ3000万
ドル(約40億円)の拠出を約束。それにあきたらず、「防衛装備移転三原則」
の緩和を話し合い、殺傷能力のある武器輸出の解禁を目指す声が高まっている
のだ。

 すでに岸田は今月1日の参院予算委員会で輸出ルールの緩和について、「結
論を出していかなければならない」と言明。ウクライナへの軍事支援を念頭に
「国際法に違反する侵略を受けた国への支援などのために重要な政策的な手段
となる」と語っていた。

 この表現は昨年末に岸田政権が閣議決定した「国家安全保障戦略」にも盛り
込まれている。「装備品」の輸出を防衛協力の「重要な手段」と位置づけ、移
転三原則の運用指針など「制度の見直しについて検討する」と記したのだ。

■平和外交なんて「クソ食らえ」の発想

 政権パートナーの公明党は武器輸出解禁に慎重だ。自称「平和の党」の主張
により、国家安保戦略改定でも「制度の見直し」の時期を巡り「可及的速やか
に」との表記が原案から削られた。

 そんな「後ろ向きな姿勢はしゃらくせえ」とばかりに、自民党内は押せ押せ
ムードだ。ウクライナへの軍事支援を主力戦車の供給まで拡大した米欧並みに
武器を送らないと「日本は援助に消極的に映る」との理屈で、小野寺五典元防
衛相ら「有志」が2月に武器輸出拡大を目指す議員連盟を新設。議連メンバー
のひとり、「ひげの隊長」こと佐藤正久議員は今月6日の参院予算委で「台湾
有事、日本有事で日本は兵器や弾薬を他の国に求めないと全然足りない」「他
の国の危機の時はあげず、自分が危機の時は『くれ』というのは通じるか」と
訴えた。

 佐藤は「ウクライナに送るべき兵器」も具体的に提案。陸上自衛隊が2029年
度までに利用をやめる多連装ロケットシステム(MLRS)の供与を政府に求めた。
戦後一貫して「平和外交」を掲げてきた国の矜持なんて「クソ食らえ」という
発想だが、彼らの念頭にあるのも5月の広島G7サミットである。

 議長国の日本が外交のリーダーシップを発揮し、G7が足並みをそろえてウク
ライナへの軍事支援を打ち出す好機ととらえ、4月以降に武器輸出ルールの見
直し議論を本格化。広島サミットまでに輸出解禁を一気呵成に推し進める構え
だ。

 G7議長国として、ロシア制裁の先頭に立とうとする岸田の陶酔と符合する自
民党内のイケイケ路線。G7議長国の立場やウクライナ支援を口実に武器輸出解
禁への圧力は強まるばかりだ。

紛争当事国も日本からの武器を望んでいない
ゼレンスキー大統領も求めていないのに(C)ロイター/ウクライナ大統領府
提供
拡大する
 
 殺傷能力のある武器輸出を認めれば、「専守防衛」をかなぐり捨てた敵基地
攻撃能力(反撃能力)の保有に続く安保政策の歴史的大転換だ。平和憲法を死
文化させる暴挙である。

 武器輸出に関し、政府は1960~70年代以降、憲法9条の平和主義を尊重し、
国際紛争を助長しないとの理念に基づく「武器輸出三原則」の運用により、事
実上の禁輸政策を続けてきた。

 ところが、安倍政権が2014年に全面禁輸の方針を破棄。「防衛装備移転三原
則」に改め、政府が国際平和への貢献や日本の安全保障に資すると認めた場合、
輸出を許した。それでも紛争当事国は対象外で、戦闘機や戦車、ミサイルなど
の兵器も共同開発国を除き、輸出を禁じている。

 紛争当事国に殺傷能力のある武器を送れば、戦争に加担するも同然だ。9条
で〈国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解
決する手段としては、永久にこれを放棄する〉とうたった憲法無視もはなはだ
しい。

 ゼレンスキーも25日掲載の読売新聞との単独インタビューで、日本が武器を
供与できないことを理解した上で、医療や復興など期待する支援を具体的に語
っていた。紛争の当事者ですら望んでいないことを、憲法の理念を放棄してま
でシャカリキになっている岸田たちは狂気じみている。立正大名誉教授の金子
勝氏(憲法)はこう言った。

「どのような理由であれ、憲法9条が厳然として残っている限り、軍事援助は
許されません。日本が長年、国際紛争に巻き込まれてこなかったのは平和憲法
の下、国土防衛に徹し、相手国に決して脅威を与えないと伝え、国際社会にも
認められてきたからこそです。敵基地攻撃能力の保有で専守防衛を捨てた上、
武器輸出の解禁に踏み切れば、いよいよ日本の平和国家像は崩れてしまう。相
手国に攻撃する口実を与えるだけで、間違いなく東アジアの軍拡競争につなが
る。日本はウクライナに対し、地雷除去やエネルギー支援などやれることはや
っています。紛争当事国に非軍事分野で多大な貢献をしていることを国際社会
にもっとアピールした方が、よっぽど大きな国益となります」

■歯止め役を失えば「新しい戦前」へ一直線

 岸田のキーウ訪問を受けた国会では、要人警護の自衛隊海外派遣も議論に上
っている。自衛隊には要人警護のみを目的に海外派遣する規定はなく、それを
可能にするには自衛隊法を変えるしかない。ただ、自衛隊法は「できること」
を示すポジティブリスト方式。自衛隊発足時は戦前の反省から、国民の権利を
極力阻害しないよう「原則禁止」を前提にしたためで、「要人警護まで認める
と、自衛隊の際限のない海外派遣につながりかねない」(金子勝氏=前出)と
の懸念もある。

 そんなことはお構いなしに、23日の参院予算委で「戦地のところであるのに
警護が現地の人でよいのか」「自衛隊が総理の警護をするのは当然のことでは
ないか」と提起したのは、日本維新の会の浅田均議員だ。いくら維新が「与党
の補完勢力」とはいえ、曲がりなりにも野党議員から勇ましい声が上がること
に国全体を包む「嫌な空気」の根深さを感じる。

「補完勢力の維新と野党第1党の立憲民主党が国会内で連携し、大軍拡に『絶
対ノー』の共産党の孤立は深まる一方です。また、大マスコミはロシアの国際
法違反の蛮行や、北朝鮮のミサイル乱発、中国の覇権主義と台湾有事など、近
隣諸国の『脅威』を煽り、国民の漠とした不安を増幅させています。これでは
敵基地攻撃をめぐる疑問に『ゼロ回答』を続け、なし崩し的に『GDP比2%』の
異次元軍拡を急ぐ岸田政権を利するだけです。野党とメディアが歯止め役とし
て機能しなくなれば、『いつか来た道』。国全体が『戦争をする国』にまっし
ぐらです」(政治評論家・本澤二郎氏)

 26日の防大の訓示でも岸田は「今日のウクライナは明日の東アジアかもしれ
ない」と決まり文句を披露したが、その言葉を自ら現実にしたいのか。この国
のかたちを大きく変え、近隣諸国との対立を煽り、日本の「新しい戦前」と「
ウクライナ化」を進めているのは岸田自身である。