書名:奥州藤原氏の栄光と挫折
著者:今 東光
発行所:講談社
発行年月日:1993/3/20
ページ:253頁
定価:1165円+税
中尊寺の貫主であり、直木賞作家である著者が、中央からは無視さされつづけてきたみちのくを愛し、平安時代末期朝廷なんかより大きな栄華を極め、やがて滅んだ藤原一族の歴史と人間模様を描いている。著者には「蒼き蝦夷の血1~4」という作品がある。その内容を本書ではダイジェスト版で纏めている。中央の貴族が落ちぶれて地方に赴任、そこでは実質的には裕福になる。都に帰るより地方に残った方が実益が上がる。そんな落ちぶれ貴族の嫉妬に満ちた蝦夷との諍い。奥州藤原三代の百年は何故栄華を極めたのだろうか?文献はほとんど残っていないみちのくの実態に著者の推理が冴える。なかなか読み応えのある面白い本です。僧侶ということもあってちょっと文章が硬い。でも名文ですね。
第1章 黄金花咲くみちのく—奥州藤原氏を訪ねて
第2章 奥州合戦—源頼義・義家と安倍・清原家の激闘 前九年・後三年の役
服(まつろ)わぬ民 ○源氏の野望と裏切り
前九年の役 ○陸奥の豪族安倍氏滅び、経清(つねきよ)討たる
清原家の内紛 ○清衡・家衡連合軍、真衡(さねひら)を破る
後三年の役 ○清原家滅び、清衡支配権を確立する
第3章 奥州藤原四代—その栄光と悲惨
藤原清衡(きよひら) ○平泉王国の創始者
藤原基衡(もとひら) ○奥羽のモンロー主義者
藤原秀衡(ひでひら) ○北方の王者
藤原泰衡(やすひら) ○誤解に満ちた四代目
第4章 付録—関係史跡案内と関係略年表
関係史跡案内
関係略年表