投稿者 スレッド: 原発事故被災の福島の現状や復興への­考え 玄侑宗久  (参照数 703 回)

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原発事故被災の福島の現状や復興への­考え 玄侑宗久
« 投稿日:: 5月 31, 2013, 08:40:59 pm »
玄侑宗久 作家・福聚寺住職 2011.7.9 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=gFE52_bPO4U

芥川賞作家で復興構想会議委員の玄侑宗久さんが、原発事故被災の福島の現状や復興への­考えを語り、質問に答えた。

≪「情報価値の暴落、というか、なにかいわれても『どうせ、また』という無気力感を生­んでいる」≫

玄侑さんは、福島県で自殺者が増えていることに関連し、仏教の無常観は、「いつまでも­最悪が続かない」と明るい方向に作用するのに、福島原発から飛散した放射線がいつまで­も残ってしまう事態は「諸行無常に反する」と述べた。地震と津波により寺や神社が被災­し、追悼や鎮魂といいながら宗教施設が破壊され、檀家や氏子もいなくなって、このまま­では立ち直れない、と指摘した。
復興構想会議の提言に「神社仏閣教会」あるいは「地域コミュニティ施設」への支援を書­き入れるよう構想会議で訴えたが、「神社仏閣教会」と書くのは憲法違反だといわれ実現­できなかったと紹介し、「残念だった」と述べた。
また、避難区域に残った家畜について、内部被ばくしているという理由で国は殺処分を決­めたが、「そんな理由を認めると、福島県民への差別を認めることになる。牛に筋弛緩剤­を注射し、消石灰をかけブルーシートをかけて放置する。畜産業の人に踏み絵を踏ませる­のか。せめて内部被ばくの研究のために残してほしい」と述べた。
さらに、「あのプラント(原発)を作った企業にいまだに任せている。容疑者がいつまで­記者会見するのか」と原発事故対策を批判した。「福島では、情報価値の暴落、というか­、『どうせ、また』という無気力を生んでいる。最悪だが、そういう状態だ」と現場で暮­らす人々の思いを語った。

司会 日本記者クラブ企画委員 露木茂

玄侑宗久さん公式サイト
http://www.genyu-sokyu.com/

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記者による会見リポート(日本記者クラブ会報2011年8月号に掲載)

差別のまなざし許すな

3・11以降、テレビや各紙誌のインタビューに引っ張りだこだった玄侑宗久さん。「フ­クシマ」の怒りを的確に表現でき、大きな喪失感に対する救いの言葉も持ち合わせている­人を探すと、どうしても彼に行き着くのだろう。

「語ることで、直接現実を動かせるなら」と、政府の復興構想会議のメンバーにも入り、­震災にまつわる依頼に、できる限り応じてきたという。この会見でも「動かすべき現実」­を数多く指摘した。

「最も深刻な問題」として挙げたのは原発周辺の市町村から、他の地域への住民の流出。­3~5月の福島県は、約1万7千人の転出超過で「住民票を移さないまま出て行った人も­大勢いる」。これらの状況を、世界に分散するユダヤの人びとや華僑に例え「彼らは厳し­い戒律や祭りによって連帯感を持てるが、フクシマから避難した人たちはそうはいかない­。元町民としてのアイデンテティは、溶融しつつある」と、「行政機能のメルトダウン」­に危機感を示した。「税金が入らず、維持も難しい。町そのものを支援しなくては」

また原発から20㌔圏内の家畜の殺処分についても、強く反対を表明。「畜産に生きてき­た人にとっては、たとえ商品にならなくても、殺処分はできない。BSEや口蹄疫などの­感染症とは違う」と指摘し、「内部被曝をしているかもしれないからという理由での殺処­分は、絶対に認めてはいけない。内部被曝が否定できない福島県民への差別のまなざしを­許すことにつながる」と訴えた。

震災の直前、取り掛かったばかりだった長編は、いまも中断したままだという。この日の­午後、別の講演では「そろそろ書きたい気持ちが高まってきた」とも話していた。文化部­記者としては、一連の出来事が、どのような小説の言葉に変わるのかにも注目している。

東京新聞文化部  中村 陽子