投稿者 スレッド: 夢も定かに  (参照数 373 回)

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夢も定かに
« 投稿日:: 8月 17, 2017, 10:35:13 pm »
書名:夢も定かに
著者:澤田 瞳子
発行所:中央公論新社
発行年月日:2016/10/25
ページ:312頁
定価:620 円+税

奈良時代を舞台に後宮に生きる女官の姿を描いた作品。地方の豪族の娘が郷里
を離れ、天皇の身の回りの世話をする采女、都の公家の娘は氏女と呼ばれる互
いに反目しながら、権謀渦巻く後宮での出来事を綴っている。藤原一族の勢力
が台頭する時代にあって、采女としてやってきた若子。笠女、春世の暮らしぶ
りを通じて奈良時代を描いている。
所属する部署は、若子が帝の食事を司る膳司、笠女は書司、春世は縫司、どう
いう部署でどういう仕事をしていたかがわかるのもおもしろい。女官も4,5年
でお役御免で郷里に戻る者もいるが、そのまま独身のまま勤め上げて出世する
ものもいる。この3人も古文書に証跡を残している人を取り上げている。

この時代の女性も働く人々がいた。女性の活躍は今の話だけではない。今も昔
も女の悩みは変わらない。奈良時代の歴史的出来事と同期しながら物語が進む。
なかなか面白い本です。