投稿者 スレッド: 桜抱き  (参照数 339 回)

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桜抱き
« 投稿日:: 3月 01, 2013, 10:02:29 pm »
書名:桜抱き
著者:山本音也
発行所:小学館
発行年月日:2005/4/20
ページ:285頁
定価:1600円+税

昭和30年のある夏の日、和歌山市を舞台に二人の小学校4年生の出会いから物語は
始まる。紀ノ川の筏師を束ねて隆盛を極めていた父、その後零落した。その一人
息子広之、大阪から夜逃げしてきた一家の男の子、勝治が川原で出会った。二人
で川、城址での遊び、勝治の母の水死事故、大阪に住む生みの親を訪ねる。きら
きらと光った日々であったり、そこには悲しさを含んだ出来事だったり、それぞ
れの家族に見守られながらも生きていく少年の日を語っていく、勝治の母の水死
、父の逮捕で「新宮」の叔父に引き取られていく勝治姉弟とのわかれ。

広之の父が語る「人間の魂は、吉野の山に咲き誇る桜の花びらに抱かれている」
という言葉の意味を教えた。 生きることは切なくて、魂はひりひりと泣く。それ
でも人は生きていく。貧しい暮らしでもどこかほのぼのとした家族、地域の人々
の愛がいっぱいの昭和の夏の風物詩を彷彿とさせる小説です。山本音也は和歌山
県出身の作家。