書名:利休にたずねよ
著者:山本 兼一
発行所:PHP研究所
発行年月日:2008/11/7
ページ:418頁
定価:1800円+税
千利休の生涯をエポック的な事件、出来事を利休が切腹する日を基点に過去に遡
って描くという非常に変わった記述の仕方で物語っている。なかなか面白い展開
の仕方。なぜ秀吉と利休は和解できなかったのか。秀吉とは利休にとってどんな
人だったのか?利休をどう思っていたのか?利休は秀吉をどう思っていたのか?
わび茶を大成したと言われる利休とはどんな自分だったのか?そんな疑問をひと
つ提出しながらそれに少しずつ答えていく手法で物語は展開する。わびの世界、
利休の手に寄れば、ただの竹でも一級の美、漁具でも美術工芸品に変えてしまう
。目利きの確かさを備えていた。それを秀吉はねたんでいた。仏教で言うところ
の三毒(貪欲むさぼり・瞋恚いかり・愚痴おろかさ)の焔を燃やしていた秀吉そ
れに劣らず、美についてはどこまでも貪欲だった利休。この対決の結果が利休閉
門、切腹に繋がっていったのか?
面白い作品です。