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考えてみれば不思議なこと
« 投稿日:: 3月 01, 2013, 06:36:40 pm »
書名:考えてみれば不思議なこと
著者:池内 了
発行所:晶文社
発行年月日:2004/12/30
ページ:349頁
定価:2200円+ 税

 宇宙の歴史は150億年、太陽系は46億年、地球もほぼ同じ、これだけの時間がた
って人類は必然的にこの地球に存在するのか?2億年ほど前には地球の自転は18時
間で1回転していた。1年は448日、今は24時間。365日。2億年後は30時間。太陽も
50億年後にはエネルギーを使い果たして太陽系の惑星を巻き込みながら消滅して
、宇宙のゴミとなる。当然その時人類がいたとしたら一緒に消滅してしまう。大
宇宙はそんな生成流転を繰り返していく、輪廻の世界。また宇宙の塵が集まって
新しい星が生まれる。地球のような星も生まれるだろう。気長に考えてみると不
思議なこと。

 科学は科学者それも細分化されて専門家ばかりで、文学もやっぱり専門家ばか
りで科学で得た知見も文学で得た知見もそれぞれバラバラ、それを著者は統合し
ようと昔の自然哲学者のような立場、新しい博物学を目指すという意気込みでこ
んな本を書いている。宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を題材に、物語の筋にそって
天文学入門。今判っている最新の天文学を紹介している。また日本の四季を辿り
ながら万葉集、和歌、短歌、俳句を並べながら四季の植物、動物の科学を説明し
てくれる。読んでいてなかなか面白い。「文化は暇が創る」天候不順で狩りに出
られなかった狩猟人が、洞窟に籠もって描いた「ラスコーの壁画」。エジプトの
ピラミッドも暇な人々の雇用を守るために、高度な文化を残している。
 天文が専門の著者ですが、雑学がいっぱいの面白い本です。