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闇の中の黄金
« 投稿日:: 3月 01, 2013, 04:41:58 pm »
書名:闇の中の黄金
著者:半村良
発行所:角川春樹事務所
発行年月日:1998/3/18
定価:686 円+税

嘘をつくことを目的にした小説の代表格が「嘘部シリーズ」3部作「闇の中の系図
」「闇の中の哄笑」、それにこの「闇の中の黄金」だ。1976年の小説。当時邪馬
台国論争が盛んな時代。それも邪馬台国九州説がやや有利かと思われた時代。こ
の小説は邪馬台国とマルコポーロ倶楽部の黄金を結ぶ意外な結末が。国東半島の
宇佐八幡宮近くを邪馬台国と比定して話を進めている。現在でもまったく古さを
感じさせない語り部の嘘に遊んでみる思いがする。最近では箸墓古墳近くの奈良
県桜井市の纒向(まきむく)遺跡が邪馬台国の有力候補とされている。そんなロ
マンを持ちながらこの本を楽しんでみた。邪馬台国は永遠のロマンが良いのかも
しれない。こんな面白い小説も楽しめるのだから。
半村良はSFやミステリ、伝記ロマン、人情噺、時代小説といった素材を使い慣れ
たシェーカーに混入し、見事な手さばきでシェイクしてみせる。その出来上がっ
た色鮮やかなカクテルは、どれもオリジナリティに溢れ、しかも口あたりが抜群
、美味とくるのだから堪らない。さすがに元バーテンダーだと納得させられる。
虚構と虚言
小説の虚構は許されるが、虚言ははばからねばならない。と著者は語っている。