投稿者 スレッド: 天地明察  (参照数 343 回)

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天地明察
« 投稿日:: 9月 30, 2015, 11:55:20 pm »
書名:天地明察
著者:冲方 丁
発行所:角川書店
発行年月日:2009/11/30
ページ:475頁
定価:1800円+税

時は徳川四代将軍家綱の治世、当時使われていた暦は862年に唐から伝わった宣明暦という暦を使っていた。しかし800年も時が経つと2日以上の大きな誤差がでていた。この暦を作るということに挑戦した人がいた。その人は渋川春海(安井算哲、保井算哲)。碁方と呼ばれる囲碁の名門・安井家に生まれ、囲碁棋士として幕府に仕えていたが、御城碁には飽き飽きしていた。そして興味をもったのは天文学と算術(数学)のことばかりだった。そんな時、算術絵馬が奉納されている神社に出かけそこにあった問題を一瞥即解で答えている足跡を見た。その回答には関とあった。

その出会いによって益々算術にのめり込む。幕府でも暦の問題を考えていた人々がいた。でも暦は朝廷の権限。極秘裏に暦を作るプロジェクトが発足した。保科正之、酒井忠清大老、水戸光圀などが裏から支援をするが、表だって幕府は顔を出すことが出来ない。最初は中国の授時暦を基本とした暦を解析して日食、月食などの予測を発表したが、6回中1回予測が外れてしまった。絶対間違いがないと思っていた渋川春海、ショックは大変なもので切腹も覚悟した。そんな時関和孝と出会う。そして関に算術に間違いはない。でも問題が間違っているのでは?との言葉に。中国の緯度経度と日本の緯度経度の違いに気がつき、日本の緯度経度にあった暦作りを一からやり直しを行う。会津藩の安藤有益なとともに苦節の10年奮闘・挫折・歓びの末日本独自の大和暦(貞享暦)を完成させた。渋川春海の波瀾の人生をドラマチックに描いている。

この本の中に出てくる算術、今の人でも解ける人は少ないのではないか。当時の円周率3.16が漸く3.14が求まった時代。西洋とは全く別に関和孝とその弟子達のグループは西洋より進んだ数学を理解していたことはよく知られるところ。先人の偉業が綴られている。士気凜然 勇気百倍

暦に生涯を賭した男たちの熱いドラマに注目せよ――小説『天地明察』
http://news.mynavi.jp/articles/2012/08/10/tenchi/
天地明察で円の直径はどのように求められたのか?
http://d.hatena.ne.jp/zariganitosh/20120219/tenchimeisatu_diameter
天文分野之図貴重資料-NAOJ Library
http://library.nao.ac.jp/kichou/open/043/