書名:吾輩は猫である 日本文学全集23 夏目漱石(一)
著者:夏目 漱石
発行所:講談社
発行年月日:1961/3/18
ページ:502頁
定価:1524円+税
高校時代から何回読んでも完了することが出来なかった「吾輩は猫である」をようやく読み切った。何とも退屈な本で、2,3頁読むと直ぐ眠くなる本です。この本は1961年発行で旧漢字、旧仮名遣いで書かれた本です。文語文から口語文に変わる時代の文章、漢文調ではないけれどかといって現代文でもない日本語の変遷が判る作品か。漱石が最初に書いた長編小説。次の年に「坊っちゃん」を書いている。
本を読むとき50~100頁程読むと登場人物、その関係、物語の筋、文章のリズムなんかが判ってくるのですがこの本は淡々として強弱もなく、起承転結もない何とも読みづらい本でした。
中学教師苦沙弥先生の家に迷い込んで飼われている猫の眼からみた珍談、奇譚、事件の数々を風刺的に描いた作品です。苦沙弥先生の書斎に次々と集まる迷亭、 水島寒月、越智東風など個性豊かな面々を猫が観察している。
それも冷静に!「吾輩は猫である。名前はまだ無い。」何気ない日々の些事を淡々と名文で綴っている。江戸時代の文化で育った漱石は最後の江戸文化人として西洋イギリスを見た人と言われている。そして物語の中にも西洋文化に対する視点はユニークで面白い。よっぽどイギリスが気に入らないのか?2年半の留学から戻るときも2度と来るものか?と憎しみすらいだいて帰ってきた片鱗が伺える。
吾輩(わがはい)小説の舞台「珍野家」で飼われている主人公のオス猫。
珍野 苦沙弥(ちんの くしゃみ)珍野家の主人で中学校の英語教師。あばた面でくちひげを生やし、胃が弱い。
迷亭(めいてい)苦沙弥の友人で美学者。ホラ話が得意。近眼で金縁眼鏡をかけている。
水島 寒月(みずしま かんげつ)苦沙弥の元教え子で理学士。
越智 東風(おち とうふう)寒月の友人で詩人。自分のことを「おちこち」とよぶ。
珍野夫人苦沙弥の妻。
子供たち苦沙弥の三人の娘で、長女「とん子」、次女「すん子」、三女「めん子」。
おさん珍野家の下女で名は「清」。
金田(かねだ)珍野家の近くに住む金持ちの実業家。苦沙弥に嫌がらせをする。
金田 鼻子(はなこ)実業家・金田の妻。寒月と自分の娘との縁談について珍野邸に相談に来る。
金田 富子(とみこ)実業家・金田の娘。寒月に一目惚れする。