投稿者 スレッド: 誰も「戦後」を覚えていない  (参照数 496 回)

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誰も「戦後」を覚えていない
« 投稿日:: 2月 10, 2013, 08:09:28 pm »
書名:誰も「戦後」を覚えていない
   昭和20年代後半篇
著者:鴨下 信一
発行所:文藝春秋
発行年月日:2006/12/20
ページ:246頁
定価:750円+税

戦後の昭和25年から30年の5年間、振り返ってみるとその後の日本のあり方、進み方の種が出来た重要な時期ですが、殆ど顧みられることもない。そんなところに焦点を当てて影の薄い時代を描いている。この時期実は隣の朝鮮は戦争をしていた。でもその当時だれもそれを重大なこととは考えていなかった。「イライラ」「暴力衝動」「密告の恐ろしさ」がこの時期の日本人の心理だったと分析している。

バカヤロー解散、血のメーデー、レッドパージ、指揮権発動そんな時代。春日八郎の「お富さん」この歌詞は実は歌舞伎の「与話情浮名横櫛」玄治店の場を知っていないと理解できないということが分かった。戦後柔道、剣道はGHQから禁止されていて、相撲は土俵の広さを大きくしてスポーツとして生き残った。歌舞伎は「読み替え」とGHQの通訳やっていた人のおかげで生き残った。

しかし新劇、新国劇は変われなかったので衰退していく。落語も読み替え、しかし講談、浪曲は変わることが出来なくて衰退していく。戦後初期の知らなかったことがいろいろと出てきて面白い。特に著者の得意な映画、演劇、小説の話など興味あるところが沢山盛り込まれている。犯罪についても現代につながる種が出てきた時期、災害も多かった。