投稿者 スレッド: 天皇と日本憲法 反戦と抵抗のための文化論  (参照数 275 回)

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天皇と日本憲法 反戦と抵抗のための文化論
« 投稿日:: 10月 16, 2014, 10:48:10 pm »
書名:天皇と日本憲法 反戦と抵抗のための文化論
著者:なかにし 礼
発行所:毎日新聞社
発行年月日:2014/3/10
ページ:245頁
定価:1500円+税

作詞家なかにし礼の反戦、反核、反原発の文化論です。先年食道ガンになって抗がん剤、手術、放射線治療しかないと医者に言われて、それ以外の医者にあたってみてもやっぱり同じ事を言われる。そこでネットで調べまくって、陽子線治療という治療法を見つけて、それを実施してくれる病院を探した。とここと。そしてその治療の効果があってガンは完治した。一度死を覚悟した体験から「言うべきことは生きている内に言わないといけない」とこの本を書いたとか。

最初に日本国憲法、特に9条、これは改憲してはいけない。白州次郎が「プリンシプルのない日本」で「この憲法は占領軍によって強制されたものである」と言っているが、つづいてその理由は松本蒸治博士による日本政府最後の憲法修正案も天皇主権だったからだ」白州はよっぽど画期的な修正案でないとGHQは承諾しないと松本国務大臣に告げていたにも関わらすである。

「新憲法のプリンシプルは実に立派である。マッカーサーが考えたのか幣原総理が発明したのかは別として戦争放棄の条項などその圧巻である。押しつけられようが、そうでなかろうがいいものはいいと素直に受け入れるべきではないだろうか」また白州は「独立復興後の日本においては、本当に我々日本人よって憲法を制定すべき」ともいう。それは改悪された憲法ではない。この新憲法を超えた立派な憲法を日本人の手で作らないと言っている。

なかにし礼は太平洋戦争で棄民されているという。ソ連が日ソ不可侵条約を破って攻めてきたとき関東軍はなかにし礼など民間人を捨てて逃げてしまった。次に本土からは受け入れられないから現地で自活するという通告がやって来た。関東軍にも、日本政府からも捨てられた経験を持つ著者の反戦の言葉は重い。淡々とエッセー風に書かれているが、奥が深い思索は一杯の本です。やはり作詞家の文章かな。