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星火瞬く
« 投稿日:: 9月 14, 2017, 05:00:25 pm »
書名:星火瞬く
著者:葉室 麟
発行所:講談社
発行年月日:2014/8/12
ページ:379頁
定価:660 円+税

主人公は若き少年、アレキサンダー・フォン・シーボルト。安政6年(1859)、
13歳のアレキサンダー少年は、63歳になる父親のフィリップ・フランツ・シー
ボルトに連れられて、長い船旅を終えて、初めて日本、長崎に上陸する。フィ
リップ・フランツ・シーボルトは30年前オランダの医師(実際はドイツ人)と
して長崎に駐留して、鳴滝塾で蘭学医学などを教えていて弟子もたくさんいる。
日本が開国したことでシーボルト事件で入国禁止になっていたのが解けた。こ
とで再度日本に来ることになった。父親のフィリップ・フランツ・シーボルト
は幕府の政治顧問などをして欧米列強に対して幕府がどうすれば良いかなどの
相談に乗っていた。

主に横浜を舞台としてアレキサンダー少年が見聞きする幕末を動かした人物達
の動向を綴っている。つぎつぎと少年の前に清河八郎、小栗忠順、勝海舟、高
杉晋作がロシア人のミハイル・バクーニンに会いに来る。バクーニンは無政府
主義者で革命家。シベリア流刑を脱走し、日本へ滞在しているところ。その後
米国を経由してヨーロッパに帰り革命を行うつもり。ロシアの対馬占領事件を
どう解決するか小栗忠順とバクーニンの交渉、勝海舟と小栗忠順との出世争い。
虚々実々のやりとりが面白い。役者は揃っているが、ちょっと強引に持ってき
た感じもする。幕末の世相が良く描けている。面白い本です。