裏を見せ、表を見せて散る紅葉 良寛
自分のいいところも、わるいところも、かざらずすべて見せてきたから思い残すことはない。人間死ぬるときは、うそもまこともなく、自然に還って散って行くものじゃ
かたみとて何かのこさむ春は花 夏ほととぎす秋はもみぢば
いきしにのさかひはなれてすむ身にも さらぬわかれのあるぞかなしき 貞心
裏をみせおもてをみせて散るもみぢ 良寛
「生き死にの 界はなれて 住む身にも さらぬ別れの あるぞ悲しき」
最後に貞心尼が「くるに似て かへるに似たり おきつ波」と和歌の上の句を書いて示すと、良寛は、
「あきらかりける 君の言の葉」と下の句を加えた。