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樅ノ木は残った
« 投稿日:: 6月 04, 2014, 05:33:12 pm »
書名:樅ノ木は残った(上) 長編小説全集第一巻
著者:山本 周五郎
発行所:新潮社
発行年月日:2013/6/10
ページ:549頁
定価:1700円+税

書名:樅ノ木は残った(下) 長編小説全集第二巻
著者:山本 周五郎
発行所:新潮社
発行年月日:2013/6/10
ページ:631頁
定価:1800円+税

歌舞伎『伽羅先代萩』(めいぼくせんだいはぎ)では江戸時代の仙台藩伊達家のお家騒動を室町時代に舞台を移し、奥州の足利家の執権仁木弾正(原田甲斐宗輔)が足利家を乗っ取ろうとする物語では逆臣、悪人として描かれている。一般的には原田甲斐は悪人・逆臣定評となっている。

それに真っ向から「歴史というものは、総括して、そのときの政治のかたち、ないしそのときに政治を左右する権力のあり方によって、修正されたり、改ざんされたり、ある場合は抹殺されたり、ねつ造されたりするものと思います」と一般の定評とは全く別の視点から伊達騒動、原田甲斐を描いている。悪人原田甲斐といわれながら彼の行ったことは殆ど判っていない。

約350年前(万治3年)1660年仙台藩62万石3代目藩主、伊達綱宗が不行跡を理由に幕府から隠居を命じられ、3歳の亀千代が家督を相続したことに端を発する、のちに伊達騒動とも呼ばれる寛文事件。を題材とした小説です。

伊達政宗の子、兵部を利用して仙台藩の取りつぶしを狙った酒井忠清の陰謀、その裏には3大名(伊達、前田、島津の外様大名の取りつぶしの意図が)、その陰謀に未然に防ぎ、伊達家の安泰を図った忠義の人物として解釈で原田甲斐が描かれている、樅ノ木は甲斐の船岡城址公園に残っているとか、この物言わぬ樅ノ木が知っている。そんな暗示を残して物語は悲劇で終わる。

本書より
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人は誰でも、他人に理解されないものを持っている。もっとはっきり云えば、人間は決して他の人間に理解されることはないのだ。親と子、良人と妻、どんなに親しい友達にでも---人間は常に独りだ。