投稿者 スレッド: 臣、罪を知らず 蘇我氏四代  (参照数 262 回)

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臣、罪を知らず 蘇我氏四代
« 投稿日:: 9月 17, 2014, 08:06:38 pm »
書名:臣、罪を知らず 蘇我氏四代
著者:遠山 美都男
発行所:ミネルヴァ書房
発行年月日:2006/1/10
ページ:300頁
定価:2800円+税

通説では蘇我氏は専権横暴をはたらき、大王位にまで迫ろうとした「逆臣」だから滅ぼされたと言われている。本当に?本書は今までの常識に異を唱えている。蘇我入鹿が飛鳥板蓋宮で斬りつけられたとき、日本書紀は入鹿の言葉『臣、罪を知らず。乞ふ、垂審察へ(私が何をしたというのでしょう。どうか真相をお調べください)』と記している。蘇我氏4代というのは稲目(?~五七〇)、馬子(五五一~六二六)、蝦夷(?~六四五)、入鹿(?~六四五)の四代。

稲目の出自を5代前の武内宿禰としているが本当のところは判らない。推定の域もあるが稲目の時代以降資料に登場しない葛城氏の娘、一族の支援で大臣位についてその後葛城氏を嗣いだのが蘇我氏ではないかと言っている。この四代の生き様を描いている。中大兄皇子(後の天智天皇)や中臣鎌足(後の藤原鎌足)らが蘇我入鹿を暗殺し蘇我氏本宗家を滅ぼした乙巳の変(645)、この裏に何があったのか?京極天皇、孝徳天皇(軽皇子)の動きが怪しい。大王家とも姻戚関係を結び栄えたが、入鹿ともに滅んでしまった。日本書紀という資料しかない古代の豪族、大王家の動きを大胆に推定している。なかなか面白い。飛鳥板蓋宮の跡など発掘されてきているので飛鳥時代ももう少し解明されてくるかもしれない。