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限界を超えて 生きるための選択
« 投稿日:: 3月 01, 2013, 09:59:50 pm »
書名:限界を超えて
   生きるための選択
著者:ドネラ・H・メドウズ、デニス・L・メドウズ
訳者:茅 陽一、松橋隆治、村井昌子
発行所:ダイヤモンド社
発行年月日:1992/12/3
ページ:376頁
定価:2200円

1972年「成長の限界」デニス・L・メドウズら、ローマクラブレポートとして「あ
と20年で石油が枯渇する。環境悪化によって100年以内に人類の成長は限界に達す
ると警告をならした。地球が無限ではなく有限だということを人々に認識させた
。又環境に対しても大きな問題提起をした。そして人々は「現在のままで人口増
加や環境破壊が続けば」という但し書きを忘れて、大騒動して石油ショックなど
が起こった。

それから20年の1992年には続編として本書が出版された。本書ではコンピュータ
モデルをいろいろとつくって最良から最悪の場面を想定したシミュレーションを
行った地球の未来を検証している。 「資源採取や環境汚染の行き過ぎによって21
世紀前半に破局が訪れるという、更に悪化したシナリオが提示されている」逆に
人類が持続可能な社会を継続していけるモデルも提案している。そして著者らが
提案しているコンピュータモデルはあるモデルであり完全ではありえない。また
他にも選択技がある。このシミュレーションもある一例に過ぎないと「成長の限
界」の時に比べてトーンダウンしている。また地球的なモデルを作るには何億人
という英知を集めないといけないと。大きなビジョンを提案している。
しかし、「成長は正しい」と信じていた社会に「発展」を進めている。成長とは
幾何級数的に増加していく、量の増大のこと。発展は質の増大のこと。持続可能
な社会の実現のためには「ビジョンを描くこと、ネットワークづくり、真実を語
ること、学ぶこと、愛すること」5つの手段を進めている。

人口増加問題、環境汚染問題、経済問題、貧困の問題を考える上でひとつの指針
となるのではないか?成長神話からは貧困問題は解決しないとも言っている。経
済がいくら成長しても分配が公平に行われない。貧困はいつも残されてしまう問
題。「成長は良いことではない。」発展に移行していかないと破局はすぐにやっ
てくる。それは現在だけの人々だけではなく将来の人々のことも考えられる持続
可能な社会を目指していかないと言っている。

年率2%で成長したとして幾何級数的に増加するかを簡単に求めるには70÷2=35
年(倍になる年数)、70÷xを覚えていくと指数関数で増大する。減少することを
直感的に暗算できる。持続可能な社会は100年、200年よりももっと長い単位で考
えてみることが必要、今だけが良かったらいいのではない。この書の結論はちょ
っと遅くなったかも知れないけれどやり方によっては人類の未来は明るいと言っ
ている。