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さむらい劇場
« 投稿日:: 12月 13, 2012, 09:26:29 pm »
書名:さむらい劇場
著者:池波 正太郎
発行所:新潮社
発行年月日:1982/12/25
ページ:629頁
定価:781円+税

酒と女に溺れ、父、兄弟、家来達からも呆れかえられている籏本の妾腹の子。榎木平八郎は二十一歳。ある夜女を抱いた帰り道、何者かに襲われる。それは父親の命で家臣達が殺し屋を雇っていたことが判明する。若い榎木平八郎が無頼の徒、盗賊日本左右衛門などとつき合いながら成長していく過程を痛快に描いている。

あるとき平八郎は将軍吉宗を殴った。将軍を殴った幕臣として吉宗との対面の場面なども面白い。将軍吉宗、尾張藩主宗春なども登場してきてテンポの良いリズムで読むことが出来る。池波正太郎は20代、30代では面白さが分からない小説家ではないかと思う。年をとると共に面白さがにじみ出てくる感じがする。人生の経験とともに池波正太郎の作品の世界にのめり込んでいくことができるように思う。

本書より
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「平八郎にこうつたえてくれ。よいか・・・・・男というものは、それぞれの身分と暮らしに応じ、物を食べ、眠り、かぐわしくもやわらかな女体を抱き・・・・こうしたことが、とどこうりなく享受できうれば、それでよい。いかにあがいてみても人は・・・・つまるところ男の一生は、それ以上のものではない。人にとって、まこと大切なるは天下の大事ではのうて、わが家の小事なのじゃ、このように、わしが申していたとつたえてくれ、よいかや」