投稿者 スレッド: 薄桜記  (参照数 274 回)

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薄桜記
« 投稿日:: 3月 01, 2013, 11:47:47 pm »
書名:薄桜記
著者:五味 康祐
発行所:新潮社
発行年月日:1981/3/25
ページ:289頁
定価:2200円+税

今年の7月~9月にかけてBSプレミアムで放送された「薄桜記」(全11回)の原作で
す。10月からはNHK総合でも放送されています。

もう一つの忠臣蔵という内容です。一般的に「仮名手本忠臣蔵」が広く知られてい
て、その後の「忠臣蔵」も悪い吉良上野介を大石内蔵助率いる赤穂浪士が一丸とな
って吉良を討ち取ったとなっています。しかし史実ではなくかなり違った形で後世
に残っています。浅野内匠頭に斬りかかられたのは吉良上野介、何故?仇討ちなの
か?浅野内匠頭の処分は将軍の決定。それを逆恨みで吉良を打つ。こんな理屈の通
らない話を「仇討ち」という目標に変えて実行してしまったと。大石内蔵助という
人物の特異ところは注目しないといけない。またその後日本人の中にその赤穂浪士
を賞賛する風土というのも考えて見る必要がある。日清事変の頃の「爆弾三銃士」
に通ずるところがあるように思う。

物語は旗本随一の遣い手と言われた一刀流堀内道場の師範代丹下典膳は結婚して二
ヶ月で大坂に、残った妻と母は江戸、その間に妻が不義を働いたとの噂が広まる。
二年後江戸に戻った丹下典膳は妻を離縁する。その離縁の時に妻の兄に斬りつけら
れて左腕を失ってしまう。そして屋敷を召し上げられて市井の浪人暮らし。同門の
中山安兵衛は、高田馬場の助っ人で剣名を挙げ、播州赤穂藩浅野家の家臣堀部安兵
衛となる。
二人の運命を変転させる出来事を小気味のよいリズムの文体で物語の中に誘ってく
れる。風格のある文章で時代小説の名手五味康祐の醍醐味を堪能することが出来る
。勿論丹下典膳は架空の人物この物語も創作だが、真実味を感じさせてくれる。昭
和33~34年、産経新聞夕刊に連載され、これまでたびたび舞台化、映画化されてき
た作品。

薄桜記 | NHK
http://www.nhk.or.jp/jidaigeki/hakuouki/