投稿者 スレッド: 津軽双花  (参照数 303 回)

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津軽双花
« 投稿日:: 8月 31, 2017, 09:59:31 pm »
書名:津軽双花
著者:葉室 麟
発行所:講談社
発行年月日:2016/7/19
ページ:276頁
定価:1,550 円+税

「関ヶ原の戦い」の一戦は家康に軍配が上がった。石田三成の娘辰姫は北の政
所の養女として、遠く津軽の津軽家二代信枚(のぶひら)の元へ正室として輿
入れした。3年後、徳川家康の姪で養女の満天姫が嫁いできた。ここで正室の
座は満天姫に。信枚の元には辰姫の兄の重成(三成の次男)も縁あって、津軽
家に出仕していた。杉山源吾を名乗っている。満天姫は福島正則の子正之に嫁
ぎ、継嗣騒動で離縁され、幼い息子を連れて実家に戻された過去を持つ。辰姫
と満天姫の戦いが始まった。「この戦い、女人の関ヶ原にございます」短編小
説です。通説と違った視点が面白い。

そのほかに「鳳凰記」「孤狼なり」「鷹 翔ける」が収録されている。
「鳳凰記」は、家康が上洛して茶々と秀頼に二条城に来るように求められた。
その時絶対行かないと言っていた茶々と秀頼が家康と会う決心した理由は?後
水尾天皇が天皇位の就任式を理由に二条城へ行くことになる。帝が聚楽第への
行幸の折り、茶々をお目にとめられ、「鳳凰のごとき女人」だと思われた。と
のお話が出たとのこと。
「孤狼なり」は、関ケ原の戦いで石田三成は西軍に負けるようにいろいろと策
をめぐらしたという筋書き。興味深い話。
「鷹、翔ける」は、本能寺の変で有名な明智光秀の部下斎藤内蔵助利三の話。
美濃国の守護代だった斉藤氏、その末の内蔵助利三は明智光秀の部下としては
格段の働きしている。斎藤道三に美濃国領地を奪われ、その後織田信長にも奪
われ、織田信長を憎んでいた。また長曽我部正親とも懇意にしていた。「本能
寺の変」の原因にヒントが。

短編にしてはちょっと大きなテーマを欲張った感じがする。従って少し話の筋
がちょっと雑なところもあります。また通説とは違った視点が面白い。