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草原の椅子
« 投稿日:: 3月 01, 2013, 10:40:41 pm »
書名:草原の椅子(上)
著者:宮本 輝
発行所:毎日新聞社
発行年月日:1999/5/30
ページ:321頁
定価:1500円+税

書名:草原の椅子(上)
著者:宮本 輝
発行所:毎日新聞社
発行年月日:1999/5/30
ページ:361頁
定価:1500円+税

大学院で光工学を専攻して、カメラメーカーの研究者として入社、40才頃に営業
部門に異動となって大阪の営業所に勤める遠間憲太郎50才、2年前に20年目にして
妻と離婚して娘と二人暮らし。妻と息子は東京に。中学を卒業していろいろな職
業を渡り歩いて30才過ぎになってカメラの量販店を経営した富樫重蔵50才の二人
が主役。

この小説は今の日本は「どうなってんのんや」と結構現在の政府、政治、組織、
道徳などにいろいろと愚痴を一杯並べている。それに対してこうすればという提
案もありますが、どちらかというとそんな世の中から脱出して自分たちの世界。
タクラマン砂漠(日本の面積と同じ位)に行くという目標。そして日々起こる出
来事を綴っている。ぼやき小説。人々の生きている世界では常に起こる。考える
ことを著者が変わって自問自答してくれている。

そんな感じもする。宇宙の中に一人の人間として考えてくるとなんでもたいした
ことはない。どちらかというと何事にも慎重に考える憲太郎。それに比べて楽天
的に考える重蔵、この二人のコンビの友情が暖かい。明治以後西洋の思想がやっ
て来て理ばかりの世の中。情理を忘れた世界。人情がない理はどんなりっぱなも
のであっても正義とは言わない。情を考えさせられる。