投稿者 スレッド: 日本/権力構造の謎(下)  (参照数 533 回)

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日本/権力構造の謎(下)
« 投稿日:: 5月 06, 2013, 11:17:15 pm »
書名:日本/権力構造の謎(下)
著者:カレル・ヴァン・ウォルフレン
訳者:篠原 勝
発行所:早川書房
発行年月日:1994/4/15
ページ:514頁
定価:718円+税

国家とは法律に基づいて、それぞれの組織が役割と権限と責任を明確にして運営していくものとされている。また日本も法治国家でそうだと思っている。しかし明治時代に法を整備したのは近代国家として先進国との不平等条約を対等にするためにつくられた法・制度(たてまえ)。本音は違う。

ということがこの本を読むとよく分かる。著者は権力をもつ者たちが力の均衡をはかりながらも究極的な責任主体はどこにも存在しない、というこの奇妙な社会のあり方を〈システム〉と名づけた。諸外国から見ると誰が交渉相手、誰に決定権があるのか。責任を持つ人は誰が、全く分からない。日本人でも分からない。憲法、法律にない目に見えない不可思議なコントロールの実態を膨大なデータを駆使して、また広範囲に渡ってその謎を解きほぐしている。全てを賛成することは出来ないが、以外と真実をついているところもあるように思う。

昭和の終わり頃の土地バブル、日本を売ればアメリカが2つも買える。という凄まじさを〈システム〉が演出した。そしてその間にどさくさに紛れて消費税を導入してしまった。そのときお金は弱い者から取り上げて強者に集められた。大手金融機関には莫大な資金を集めてしまった。格差は格段に開いてしまった。ロッキード事件、リクルート事件、佐川急便事件の汚職は程度の差こそあれ大抵のものがやっていた。

でも度が過ぎた者にスポット当てて国家、検察、警察、官僚が叩きつぶし、見せしめとするという構図に他ならない。そして他のスキャンダルは隠蔽される。勿論検察などからのリークに踊らせているマスコミも。スキャンダルの陰に大きな罠が潜んでいることを見ないといけない。マスコミが大騒ぎする裏には〈システム〉の明確な意図が隠されている。20年ほど前に出版された本ですが、いまも充分新鮮な本です。最近はますます窮屈な時代になってきている。自己規制が強化されて、この〈システム〉から外れる人は存在すら否定されるようになってきている。この〈システム〉は「みんなと一緒が好きなようだ」。違うことはある臨界点を超える一気に潰されてしまう。

また著者は外国の学者、作家が日本論を書いて話題になっているものは日本のお金が流れている。日本びいき、時の政権を賞賛した海外の出版物のスポンサーは日本が裏にいると思って読めと言っている。経済学は学問でも、数学でも、科学でもない。政治に他ならない。天気予報すら明日の天気が当たらないのに経済学の予想なんか、あたるわけない。でも経済学で生活している人が沢山いる。それらの人々の為には次々と新説を出して常に注目されないといけない。堂々巡りをやっている。カレル・ヴァン・ウォルフレンの著はさて日本のお金が流れているのか?これは書いてない。1960年代から日本に派遣されてずっと日本の中でジャーナリストして活動してきただけに具体的事象、データが詳細だ。