投稿者 スレッド: 親鸞 吉川英治全集14  (参照数 316 回)

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親鸞 吉川英治全集14
« 投稿日:: 3月 01, 2013, 10:54:36 pm »
書名:親鸞 吉川英治全集14
著者:吉川 英治
発行所:新潮社
発行年月日:1980/6/21
ページ:546頁
定価:1600円+税

この親鸞は何十年も前に読んだことがある。親鸞の出自を源氏の義経、頼朝と又
従兄弟として描いている。また最初の師は慈円僧正が叡山の新座主になって叡山
に登ることなる。吉川英治の小説は可能性のあるネタを少しでも大きく、面白く
広げていく手腕は見事なもの。歴史、史実はちょっとというところも吉川英治に
書かせると本当のことと思わせてしまう面白さがある。また読者を忽ちの内に作
品の中に引きずり込んでしまううまさは流石だと思う。500ページを超える長編で
すが、2回目にも関わらずついつい読み通してしまった。親鸞の周りに関わるキャ
ストが個性があって善人もいれば極悪人もあり、それらが効果的次々と現れてく
る。中々面白かった。宮本武蔵の又八、お杉婆のようなキャラクタもあって物語
をグイグイと引っ張っていく。この作品は「親鸞記」に続く2回目の親鸞で、昭和
10年頃書かれたもの、後書きで吉川英治は、もう一度親鸞を描いて見たいと書い
ていたが、その願いは叶わなかった。その後親鸞を書いている作家は丹羽文雄、
最近では五木寛之。それぞれ読み比べるのも面白い。なかなかの力作です。