投稿者 スレッド: 孤鷹の天  (参照数 493 回)

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孤鷹の天
« 投稿日:: 12月 27, 2012, 03:34:51 pm »
書名:孤鷹の天
著者:澤田 瞳子
発行所:徳間書店
発行年月日:2010/9/30
ページ:633頁
定価:2000円+税

これが本当に新人の第一作なのだろうかと疑問がでる位凄い作品。著者は歴史小説作家は澤田ふじ子の娘だとか。「四書五経」で育ったのだろうか?この作品で第17回中山義秀文学賞受賞。1977年生れだから現在35歳位。

舞台は天平宝宇年間。孝謙天皇、道鏡、恵美押勝らが生きた時代である。主人公は大学寮に学ぶ青年達。 物語は天平宝字4年からはじまり、藤原仲麻呂の乱を経て、その後に至る経緯が描かれている。現代にも通じる真の政治、真の教育は誰のためになされるものか平成の世に問いかける一書
です。

藤原清河の家に仕える高向斐麻呂は14歳で大学寮に入寮した。きっかけは主の娘である広子への淡い恋心。唐に遣唐使して渡った清河が諸般の事情で帰ることができない。広子のために次の遣唐使を派遣されるときに遣唐使の一員に加わりたい。という強い思いからだった。

大学寮では儒学が主体の教育を実施していた。儒学の基本理念である五常五倫。国家の基本は仏教。儒学対仏教の戦いが高向斐麻呂等などとは別なところで大きく渦巻いていた。大学寮が国家の抗争の渦の中に巻き込まれていく中、若い学生らが必死に自分の生きて行く道を探る。探す過程を遺憾なく描いている。

漢文の素養もあり、語彙も豊か今後を大いに期待できる新人です。次の作品「満つる月の如し 仏師・定朝 」も読んで見たいと思う。文章も良いし、展開も良い。600ページを越す大作で難解な言葉も混じっているがそれを感じさせずに一気呵成に読んでしまった。また取り上げている時代も良い。奈良遷都1300年を意識しているのか?
 

五倫五常とは
人として常に踏み守るべき道徳のこと。儒教の教え。▽「五倫」は基本的な人間関係を規律する五つの徳目。父子の親、君臣の義、夫婦の別、長幼の序、朋友の信。「五常」は仁・義・礼・智ち信の五つ。