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打ちのめされるようなすごい本
« 投稿日:: 4月 12, 2021, 02:51:00 pm »
打ちのめされるようなすごい本 - つみかさね
https://3yokohama.hatenablog.jp/entry/2021/04/12/144803

書名:打ちのめされるようなすごい本
著者:米原 万里
発行所:文春文庫
頁数:372頁
発売日:2009年
定価:865円
電子本

この本は横浜市図書館の電子本貸し出しサービスで偶然見つけた。米原万里さ
んは亡くなる何年か前、武蔵工業大学で市民講座の講師として見えたとき初め
て知った。その後米原万里さんの本はいろいろ読んだ。米原さんの妹井上ユリ
さん(井上ひさしの妻)と知人宅でお会いしたこともある。井上ひさしの残し
た蔵書を寄付したいのだけれど、受け取ってくれるところがないと言っておら
れた。

この本は1995年~2005年までの10年間の全書評を収録した書評集です。米原万
里さん舌鋒は鋭く、はっとさせられる言葉が続く。「秀才は模範解答を書こう
とする。自由主義が流行れば自由主義の、軍国主義が流行れば軍国主義の模範
解答を書くような人間が指導者になった。」と本質を突いた言葉にあっと驚く。
そしてこれらの書評から漂ってくるのは、よく本を読んでいる。本人の弁にも
「1日7冊」というのがあり、本当?でもよく読んでいると思う。この書評など
を読むと随所にその教養があふれている。

米原万里は「卵巣癌」であり、転移の疑いがあると診断される。近藤誠の影響
を受けていた米原は開腹手術による摘出、抗癌剤投与、放射線治療を拒否し、
いわゆる民間療法にて免疫賦活などを行う。1年4ヶ月後には左鼠径部リンパ節
への転移が判明し、手術を提案されるが拒否。温熱療法などを試みる。そんな
闘病生活の中「ああ、私が10人いれば、すべての療法を試してみるのに」と癌
に関する本執拗にを読んでいた。その量と速さは凄い。
人の考えはいろいろあるが、癌になったときいろいろ調べ廻った結果、保険で
診療できる治療方法が一番進んでいる治療。標準治療という言葉に、何となく
特別な治療じゃないと感じてしまうようです。だからインテリ、お金持ちは標
準治療、健康保険での治療は低級な治療だと思って、それ以外の方法を試して
みたくなるようです。それで旨くいく場合もあるし、駄目な場合もあり、それ
ぞれですが、標準治療という言葉に騙されないようにしたいと思う。標準治療
というのは今の医学で一番進んでいる方法だということを覚えておこう。

米原万里はガンにより56歳で亡くなるが、ガンの告知を受けた後も、死の直前
まで書評を書き続ける。必死に本から病についての情報を得ようとする姿、知
ることへの渇望に圧倒され、まさに打ちのめされるような衝撃を覚える。