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破獄
« 投稿日:: 3月 01, 2013, 11:40:33 pm »
書名:破獄
著者:吉村 昭
発行所:岩波書店
発行年月日:1983/12/21
ページ:339頁
定価:1500円

無期刑囚の佐久間清太郎が犯罪史上未曾有の4度の脱獄を実行した。というニース
ネタとしてはそれなりに価値があるかも知れないが、普通の人にとっては大した話
ではない。そんな題材をドラマチックに仕上げている。実際にあったフィクション
、戦前、戦中、戦後の犯罪史、刑務所の内情などを各時代に置ける歴史を踏まえて
一無期刑囚の行動を通して描いている。

昭和11年青森刑務所脱獄。昭和17年秋田刑務所脱獄。昭和19年網走刑務所脱獄。昭
和22年札幌刑務所脱獄。そして府中刑務所に収監されて、仮出所で釈放される。当
時の刑務所は1日6合の主食、一般は2合3勺、刑務所の方が待遇が良かった。看守
は食うや食わず。特に網走刑務所は食料は豊かだっとか。裏面史も面白い。獄房で
厳重な監視を受ける彼と、彼を閉じこめた男たちの息詰る闘いそして脱獄を許して
しまう。府中刑務所に収監されて佐久間清太郎「もう疲れてしまった」という一言
が非常に印象的でした。吉村昭の真髄が見られる力作です。