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錦(にしき)
« 投稿日:: 3月 01, 2013, 07:50:19 pm »
書名:錦(にしき)
著者:宮尾 登美子
発行所:中央公論社
発行年月日:2008/9/5
ページ:438頁
定価:1800円+税

宮尾登美子が30年寝かせていた作品。またはじめて男性を主人公にした作品。龍
村美術織物(株)の創業者、龍村平蔵が主人公。明治27年大阪で着物屋を創業して
、西陣の職人を使って帯の製作・販売をはじめる。その内自分で考えた意匠を商
品にしていく。龍村の帯は帯一本に家一軒と言われる位高級な帯。そんな龍村平
蔵の生涯を描いている。

 絹を材料にして「錦」を作っていく。また国宝級のお茶入れを収納するための
絹袋を復元するする作業、正倉院の琴を収納する袋などの復元。1000年の歴史を
経て伝えられてきた絹織物を材料、色、染料、蚕に与える桑の葉など分析してそ
れと同じものを作るために必死に挑戦していく。そんな男の生き様を描いている
。この物語では龍村平蔵は菱村吉蔵として描いている。明治、大正、昭和を織物
の街を生きた男がいた。面白く読ませて貰った。

織物、和装小物、茶道具の龍村美術織物(京都)
http://www.tatsumura.co.jp/