投稿者 スレッド: 本能寺  (参照数 293 回)

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本能寺
« 投稿日:: 3月 01, 2013, 06:29:36 pm »
書名:本能寺(上)
著者:池宮 彰一郎
発行所:毎日新聞社
発行年月日:2000/6/25
ページ:307頁
定価:1600円+ 税

書名:本能寺(下)
著者:池宮 彰一郎
発行所:毎日新聞社
発行年月日:2000/6/25
ページ:307頁
定価:1600円+ 税

テレビドラマの製作などに長年関わっていた脚本家で、69歳で池宮彰一郎という
ペンネームで作家デビューしたが、司馬遼太郎の作品と非常に類似しているとい
う事件で作家活動を停止した。といういわくのある作家です。脚本家だけあって
誰でもが知っている「本能寺」を非常に面白い視点で見ています。明智光秀と織
田信長とが初めて出会う場面から物語は始まります。当時、織田軍団には殆ど人
(才能のある)がいなかった。後年になってもいなかった。織田信長は1を聞い
て10,100を知るほど才気ばしった才人。明智光秀もそれと同じ位に頭の回転が速
い。織田信長は頭が良いばかりではなく、発想が奇天烈。意外性がいっぱい。つ
いていく部下にとっては大変な大将。それをそつなくこなしていたのが光秀。司
馬遼太郎ばりの物語の展開。

でも司馬遼太郎ほど押しつけてこないところが良い。何故明智光秀が信長に反逆
したのか?作者独自の面白い説が見えてくる。新しい時代を作る織田信長、既存
の価値観を全くひっくり返してしまおうとしている。それについていけない面々
。キーマンとして細川藤孝、千利休、近衛前久、足利義昭の策謀、それに載せら
れた、豊臣秀吉、明智光秀。織田信長は秀吉は人に使われる人材として一級品。
でも人を使う人間ではないとみていた。それに比べて自分の後を継ぐのは明智光
秀と見ていた。このあたりが自分の子孫を跡継ぎに考えていなかったという作者
は想定している。なかなか面白い発想。宣教師達から得た、地動説、ローマ帝国
の歴史、政治体制などを十分知っていた。また理解していた信長ならではの発想
か?生まれてくるのが早かった織田信長、「人間50年、夢まぼろしの如くなり」
光秀も「55年の夢」ともに夢と消えた。

(本書より)
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人が秘す機密などは、人の口から必ず漏れる
人が作りだした困難は、人の知恵と努力で打開できない筈がない。
絶対的な権力は、絶対に腐敗する。
古今東西を通じての鉄則である。