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34696
本に出会う / 眠りにつく太陽 地球は寒冷化する
« 投稿日:: 3月 01, 2013, 06:57:07 pm »
書名:眠りにつく太陽
   地球は寒冷化する
著者:桜井 邦朋
発行所:祥伝社
発行年月日:2010/10/10
ページ:1780頁
定価:740円+税

地球温暖化、CO2犯人説に凝り固まっている人々が多いので、この桜井氏の寒冷化
するという説は議論するに値しないとバカにされる人も多いかもしれない。しか
しCO2犯人説も段々妖しくなってきている。また2000年頃からは地球の平均気温は
殆ど変わっていない。上昇していないという事実もある。

人間のほうは大慌てだが、地球が暖かくなったり寒くなったりすること自体は珍
しくない。10世紀半ばから300年ほどは大温暖期で平安時代などは平和な社
会だった。13世紀末から19世紀半ばまで寒冷期に突入。この間、特に気温の
低い極小期と呼ばれる小氷河期が何度か出現するのだが、歴史の動向から証拠を
引き出しているのが面白い。この時期に冷害による大飢饉や人口減、ペストの流
行、暴動が頻発しているのだ。

著者は太陽活動が地球の温度変動に影響を与えると考えている。太陽の活動の活
発化、沈静化によって太陽の黒点の現れ方が違う。太陽に黒点がほとんどない時
期、つまり太陽活動が極端に衰退した時期と合致する。このときは宇宙線が地球
に降り注ぎ、雲の発生の原因となるイオンが多くなる。地球が水蒸気、雲に覆わ
れると考えている。

では、現在の太陽はどうなっているか。著者が経験したことがないほど極端な無
黒点状態で、もはや休眠寸前。この状態が長く続けば再び小氷河期が到来するだ
ろうと言っている。これもひとつの仮説ですが、大気中に0.04%しかないCO2の増
加よりは説得力があるように思える。異論も含めて真面目な議論をしていければ
良いのであるが、最近の科学は決め打ち、魔女狩り的な強力な圧力が掛かる。ま
たビジネスになってしまっている。学問の自由と権威を取り戻さないととんでも
ない社会が出現してしまう。いやしようとしている。100年もすれば今の理論は殆
ど間違いだったということで、新説が出ているだろう。やっぱり自分なりに考え
て見たいものである。


34697
本に出会う / 果ての花火 銀座開化のおもかげ草紙
« 投稿日:: 3月 01, 2013, 06:56:35 pm »
書名:果ての花火 
   銀座開化のおもかげ草紙
著者:松井 今朝子
発行所:新潮社
発行年月日:2007/8/30
ページ:258頁
定価:1500円+税

明治時代の初め、銀座に洋館、煉瓦づくりの街に住む、旧幕時代の藩主、士族、
岡っ引き、明治の功労者となった薩摩藩士のポリス、などが住まう煉瓦づくりの
長屋に起こる事件を綴った短編です。松井今朝子は初めてですが、なかなか判り
やすい語り口で江戸の街、人々を生き生きと描いている。はやりの西洋文明に被
れる人々、そのはやりにはついていけない久保田宗八郎が主人公。31才の宗八郎
は元士族、維新の時薩摩藩士として幕府郡を徹底的にいたぶった今は知事となっ
ている石谷番隆をかたきと狙っている。明治の文明の衝突を下記の様な会話の中
に何気なく混ぜている。なかなか含蓄ある言葉が多い。今の世にも十分通じる視
点が一杯あるように思う。

本文より
-----------------------
「ほう、耶蘇の神は人を世話好きにするらしい」
「汝が他人からして欲しいと望むところを他人に施せ。マタイの福音書にそう書
いてあります。」
「己の欲せざるところは人に施すなかれ、これが孔子の教えだ」

「神を信じるより、人を信じろ」

34698
書名:原発事故残留汚染の危険性
   われわれの健康は守られるのか
著者:武田 邦彦
発行所:朝日新聞出版社
発行年月日:2011/4/30
ページ:159頁
定価:1500円+税

何故国は本当の事を公表しないのか!事故の起きた理由、何が問題なのか、放射
線の影響は大丈夫か。著者は3年前に「原発は地震で壊れるように設計されている
」と問題点を「原子力安全委員会」で指摘している。著者の立場は「安全な原子
力推進派」「不安全な原子力反対派」といっています。
マグニチュード9.0の意味とは今回の東日本大震災からモーメント・マグニチュー
ドを使い始めた。今までの気象庁マグニチュードであれば8.4程度の地震。津波も
1896年の明治三陸地震のとき15m~38mということで予想外、想定外、過大でも過
小でもない日本で起こりうる地震、津波だった。
これからの調査結果を待たねばならないけれど、福島原発のところの震度は6.0程
度、外部電源の鉄塔が倒れたのは地震が原因とみられる。また原子炉建屋も相当
傷んだようだ。津波が起こったから電源が間に合わなかったというのは???
そして「どうも日本社会というのもは、原発という巨大技術を持つまでには成熟
していないのではないか」巨大な技術だけで成立するわけではなく、その技術を
サポートする社会があってこそ」と仕様設計ミス(環境条件、設置条件、性能、
安全基準等)、システム設計ミス。原子力発電は専門分化して徹底的に研究開発
しないといけない位難しい技術、そして部分部分(原子炉、格納容器、冷却装置
)の最適化は得意だが、全体としてのエンジニアリング技術は不得意分野、事故
が起きたときにどうするか、その手順すら考えてもいなかった。それが実体か?

「どのぐらいの被ばくまで大丈夫か?」それは、すでに「日本の法律」で決まっ
ていて「原子力、放射線の専門家」が3月11日まで「これが正しい」と行ってき
た数値です。だから、そこで定められた数値は「原子力安全委員会」や「文科省
」でも変更することはできませんし、まして、何も関係も権限もない「保安院」
などはその数値と離れて「健康に影響が無い」などと口を挟むことはできません
。つまり、
1.   一般人 1年1ミリシーベルト以下
2.   職業人 1年20ミリシーベルト以下(特例あり)
3.   医療  放射線をあびる損失が治療の効果を下回る範囲
4.   管理  3ヶ月で1.3ミリシーベルト以下

これをもとに残留汚染について詳しく判るように説明しています。また専門用語
をなるべく使わず説明していますので専門家がそのおおざっぱなところをつく。
そして武田はとんでもない奴だという人も多いのも事実です。自分で読んで判断
をしましょう。

ちなみ武谷三男という人がかつていました。原子力発電というと必ず出て来る人
(武谷三男は原子力推進派、反対派のいずれも武谷を原点として議論していたそ
れぞれの論拠はどちらも武谷三男だった)

「原子力発電」(武谷三男編 岩波新書)よると(武谷三男は原子力推進派、反
対派のいずれも武谷を原点として議論
していたそれぞれの論拠はどちらも武谷三男だった)
ある許容量概念について述べられている部分は、考えさせられる。「許容量とは
それ以下で無害な量というのではなくて、その個人の健康にとって、それを受け
ない場合もっと悪いことになるときに、止むをえず受けることを認める量であり
、人権にもとづく社会的概念である」。

「安全性の考え方」の“原子力の教訓”の章に、武谷さんと阪大・京大の先生と
対談で、武谷さんは次のように述べている。
    原子炉は絶対安全ということをおっしゃっている方がどうやらいらっしゃる
ようです。安全ということも大変疑問であります。安全でないからこそいろいろ
の防御設備をして、鉄の容れ物に全体を入れてみたり、いろいろ苦心惨憺するの
であります。ですから、それを軽々しい態度で、こうやれば絶対安全、ああやれ
ば絶対安全ということを言うのは非常に間違った態度であります。それは原子炉
の本質的な問題を御存じない、原子炉の構造をいろいろトレーシング・ペーパー
でお描きになったことはあるかも知れませんが、原子炉の根本的な態度、本質的
なことについては御存じないと言われてもしようがない。すくなくとも絶対安全
とか、また安全とかいうような言葉は言うべきではない。あくまで安全にしたい
、する努力をするという態度で何時も言う必要があるのです。

34699
本に出会う / 世界石油戦争 燃えあがる歴史のパイプライン
« 投稿日:: 3月 01, 2013, 06:55:26 pm »
書名:世界石油戦争(上)
   燃えあがる歴史のパイプライン
著者:広瀬 隆
発行所:NHK出版
発行年月日:2008/9/20
ページ:252頁
定価:800円+税

書名:世界石油戦争(下)
   燃えあがる歴史のパイプライン
著者:広瀬 隆
発行所:NHK出版
発行年月日:2008/9/20
ページ:252頁
定価:800円+税

2001年9月11日にニューヨークのウォール街が誇る世界貿易センタービルとアメリ
カの誇る世界最強の軍隊の牙城ペンタゴンビルが何者かに乗っ取られた航空機の
ゲリラ突撃によって無残にも崩壊した世界的な事件があった。当時すぐに「テロ
」が起こした事件、そのテロの首謀者はビンラディンと発表し、アフガニスタン
のタリバン掃討を口実に、罪もないイスラム教徒がアメリカとイギリスの軍隊に
よって大量に殺戮された。

資本主義陣営はテロは卑怯な犯罪、ビンラディンはとんでもない奴だと言うこと
になっている。また中東紛争の因を宗教に求める識者も少なくない。しかし本書
では中東(この言葉はイギリスから見た名前)の歴史を紐解きながら、エネルギ
ー革命で石炭から石油に変わる1900年前後のイギリス、ロシア、フランス、そし
てアメリカの石油獲得競争、中東の各国をどのようにダマしてきたかを検証して
いる。そして石油を購入したお金は、また武器弾薬を売ることによって中東の各
国のお金は根こそぎ奪ってきた。まして中東の民衆には一銭も残してこなかった
。石油産業、軍需産業と政治家、ユダヤの金融業者の悪の相関図を描いている。
目から鱗の内容にびっくりする。


34700
本に出会う / 道絶えずば、また
« 投稿日:: 3月 01, 2013, 06:54:56 pm »
書名:道絶えずば、また
著者:松井 今朝子
発行所:集英社
発行年月日:2009/7/10
ページ:324頁
定価:1800円+税

文化11年三代目荻野沢之丞は此の世を去った。享年70才、中村座の舞台で「道成
寺」を演じていて、最後の場面、清姫に扮した沢之丞が鐘楼にひたひたと歩み寄
る、そして落ちてくる鐘の中に一瞬して飛びいる。舞台の切り穴を設けて舞台下
に抜ける予定だった。しかしそこで下をかみ切って死んでしまった。残された2人
の息子市之介、宇源次の跡取り争いに絡んで役者、大工が殺される。それらは法
華経信者、そしてその中心に感応寺がある。推理小説仕立ての物語。
道絶えずば、また、天下の時に会う事あるべし 風姿花伝


34701
本に出会う / 古代からの伝言 日出づる国篇
« 投稿日:: 3月 01, 2013, 06:54:26 pm »
書名:古代からの伝言
   日出づる国篇
著者:八木 荘司
発行所:角川書店
発行年月日:2000/9/10
ページ:474頁
定価:1700円+税

 古代日本の歴史「日本書紀」「古事記」を物語風にした作品。蘇我馬子から中
臣鎌足へ。推古天皇、聖徳太子、任那、百済、新羅、高句麗との関わり方。隋に
送ったとされる親書「日没するところの天子、日出づるところの天子」その遣い
として小野妹子が隋の皇帝からの返書を無くしてしまった。百済で奪われてしま
った。当時朝鮮半島は中華の属国扱いされていた。

 聖徳太子は任那を支援するために隋に外交で堂々と独立国を宣言した。朝鮮半
島へ兵士を送る戦争より外交でとの思いが強かった。「和をもって尊しとなす」
は今まで延々と続く一つの流れ。後半は天智天皇の世、朝鮮半島の混乱に巻き込
まれて新羅に援軍を送る。白村江の壮絶な戦い。これに負けて近江の国大津に宮
を移す。これは唐、新羅の連合軍による日本攻撃の予防。大阪湾から90キロ離れ
ていれば唐の水軍も防げる。そして九州、中国地方には山城を築いて防人を配備
した。今もって良くわからない古代の物語は興味が尽きない。


34702
本に出会う / 原三溪翁伝
« 投稿日:: 3月 01, 2013, 06:53:56 pm »
書名:原三溪翁伝
著者:藤本 實也
発行所:思文閣出版
発行年月日:2009/11/1
ページ:895頁
定価:16000円+税

1945年8月16日に原稿が完成した。でも61年間刊行されなかった原富太郎翁の伝記
です。勿論著者の藤本實也は故人。19世紀半ば、横浜などの開港を契機として本
格化した近代日本の経済成長は、欧米先進国へキャッチアップを試みたアジアの
途上国の先駆をなすものとみられている。この成功の一つに近代化以前に独立性
を確保していたのが、江戸末期の生糸であった。丁度ヨーロッパに発生した蚕種
の微粒子病の蔓延により、ヨーロッパ域外への生糸需要が急増した。こうしたな
か、生糸基軸体制を構築、維持に大きな役割を果たしたのが、横浜の開港場に参
集した原善三郎、茂木総兵衛、吉田幸兵衛ら生糸売込商であった。生糸が輸出の
基幹産業として、武器の購入、軍艦の購入などに大きな力を発揮していた。横浜
は善きもあしきも、亀善のはら(腹=原)ひとつにて、事決まるなりという俗謡
がある。

原善三郎の孫娘屋寿と結婚して養子と原家に入ったのが青木富三郎(原三溪翁)
であった。善三郎の起こした生糸売込商を守り、発展させた。と聞くと逆玉の幸
せな人となってしまうが、経営者としても抜群の人、そして文化芸術にも深い、
余りにも大きすぎて誰も評価が出来ない位の器量の大きな人。まして横浜をこよ
なく愛し、横浜の為には全てを注ぎ込んだ人。どんな時でも表だって先頭には立
とうとはせず、適切な人を選んで、自分はその黒子に徹する。それもただの黒子
だけではなくとことん目立たないように根回し、調整をしてその人が十分仕事が
出来るように配慮するといった性格の人。生糸産業に大きな貢献として貿易品の
常として価格変動による不況、暴落の時、組合を作って政府資金をいれて業界全
体として生糸産業を支援した。(自分の全財産をなげうつ覚悟で)

また関東大震災の時横浜は壊滅的な被害、生糸に輸出を神戸港が狙っていた。(
火事場泥棒的な動き)それに対して17日で横浜の生糸貿易を復旧した(意地です
ねえ)。また横浜市復興会の会長(生糸貿易の復興に全力投球している超多忙の
三溪翁に市長、知事などから懇願されて、事前に復興計画、メンバーの選択など
の準備を経てやむを得ず引き受ける)として、復興会メンバーに発足当初(9/19
)に話したことは横浜の外形は何も無くなってい待ったけれど。市民の本体はあ
る。他人の援助を叫ぶ前に先ず、自ら奮起して自ら背水の陣を張って後、他の援
助も同情も期せずしてくる。みだりに他人の援助のみに依頼するはかえって他の
援助と同情をしりぞくるの結果となる。被害の損失を5億円と仮定し、40万人の市
民が1日50銭を節約すれば1日20万円、1月600万円、1年で7200万円すなわり7年で
償還することができる。市民一丸となって復旧に全力を尽くせば出来ると説いて
いる。そして全力を傾けて復興にかけている。

ただ三溪翁は政治家の知人、友人は一杯いたが、自らは絶対に政治には近づかな
かった。また賄賂まがいのことは絶対しなかった。実業においても優れた人であ
るが、それ以外の領域においても凄い才能をもっていおり、横浜というと三渓園
と言われるほど、殺風景な町横浜にあって文化芸術の香りのあるところを残して
いる。開港当時の横浜というところは世界からならず者、食い詰めた者、全国か
ら一攫千金を目指してぎらぎらとした人々の集まる柄の悪い町。そんな中で生糸
の貿易というやくざな商売を行っていた商人達は次々と没落していった。そして
残ってきたのが原善三郎、茂木総兵衛、吉田幸兵衛。

そんな中、三溪は三渓園に、全国各地の建築物、書画、骨董、仏像などの大一級
品を集め、そして三渓園を一人秘蔵することなく、市民に開放した。また下村観
山など画家のパトロンとして画家の育成、茶室で茶を極め、自分でも日本画を描
く、書も書く、読書も。また歴史についても深い理解。単なる金持ちという範囲
では収まらない人。教養人であり、慈善事業にも自らの名前などは出さないで見
えないところで多額の寄付、支援を行っている(著者が関連者を聞き回って初め
て判った行為が一杯。全体は調べようがないと)この本を読めば読むほど三溪の
ことをもっともっと知りたいという気になってくる。三溪翁が亡くなってから関
係者にインタビューをしながら集めた一級の資料だと思う。
また歴史の短い横浜の事を調べるには非常に便利な資料だとも思う。

この三溪翁を読んで、似た人物というのは大本教の出口王三郎を思い浮かべる。
この人も大きな器量な人だと思う。大本教というのは戦前、2回も不敬罪で本部を
当局に爆破された教団で、日本陸軍の秋本真之をはじめとする軍の幹部なども熱
心な信者だった。「邪宗門」という小説の題材にもなっている。

この本は戦前の文章なので漢文調のところもありちょっと大げさに書いていると
ころがあるが、やっぱり語彙と著者の教養の深さを見せてくれる文章が良い。た
だ読むのに時間が掛かる。横浜を代表する原善三郎、茂木総兵衛、吉田幸兵衛。
それに高島嘉右衛門、原三溪の伝記が殆どなかった。少し横浜が見えてきたよう
な気がする。

本文より
------------------------
今回の事変は素より未曾有の災害でありますが、此の場合に於いて又反面に幾多
の光明を見出し得ると存じます。今回は横浜開港以来吾々祖先がその心血を注い
で六十年来蓄積した処の全ての機関も組織も挙げて一朝の烟と消えしめました。
しかしながら此は言わば横浜の外形を焼尽くしたというべきものでありまして、
横浜の本体は厳然として尚存在しているのであります。横浜市の本体とは市民の
精神であります。市民の元気であります。~中略~


復興小唄
浜自慢          三溪
横浜よいところじゃ
太平洋の春がすみ
わしが待つ舟明日つくと
沖のかもめがきてしらす

よこはまよいところじゃ
青葉若葉の町つづき
屏風ヶ浦の朝なぎに
富士がめざめて化粧する

横はまよいところじゃ
秋の青空時雨もしよが
浜の男の雄心は
火にも水にもかはりやせぬ

横浜よいとこじゃ
黄金の港に雪ふれば
白銀のせてつみのせて
千艘万艘のふねがよる



34703
本に出会う / 二酸化炭素温暖化説の崩壊
« 投稿日:: 3月 01, 2013, 06:52:34 pm »
書名:二酸化炭素温暖化説の崩壊
著者:広瀬 隆
発行所:集英社
発行年月日:2010/7/21
ページ:222頁
定価:700円+税

人間が出す二酸化炭素によって地球が温暖化しているという仮説が出てから、人
類の大半が科学の結論だと信じて議論をスタートしエコ、エコと叫ぶ。単なる仮
説にすぎないのに、結論までに持って行った。犯人を実名を上げてその悪質なや
り口を説明している。IPCCの基礎データ捏造が発覚したクライメートゲート事件
(日本では北海道新聞以外は報道していない)科学問題を政治問題、環境問題に
すり替えた国家から研究費を貰っている東京大学をはじめとする国立大学の権威
とされている人達にとっては科学よりお金、産業界も環境よりお金。こんな泥沼
に浸かっている現状をデータを用いながら説明している。

著者は今の気象学者、科学者と呼ばれる専門家は勉強していない。特に歴史を全
く知らない。IPCCの気温のグラフを見た瞬間に過去にあった温暖化時期は全て削
除されて、化石燃料を使うようになった1950年頃から急激に気温が上がったよう
になっていることに気がつく人が殆どいなかった。(たとえいても魔女狩りで発
言すら出来なかった)

地球温暖化の犯人とされている二酸化炭素よりもっと気温に影響するのは水蒸気
、地球・太陽の天体運動の方が桁違いに大きい。悠久の昔から続いてきた地球の
自然な気温の変化に過ぎない。それを大きく取り上げて大騒ぎしているのが温暖
化問題だ。と冷静に評価している。
この大騒ぎにウキペディアが寄与している。1960年代から1970年代の地球環境、
温度、歴史などを書いてある本を数冊読めば簡単に判ることをネットに出てこな
いという理由で無かったことしている。自分で調べようとしない科学者。ネット
ではなく図書館に少し足を運べば先人の英知が詰まっている。情報の信頼性、信
憑性を見抜くコツは過去の著書、図書館で自分で調べてみること。声を大きくし
て訴えている。

ところでもっと問題なのはヒートアイランドだ。原子力発電所はエコだと言われ
ているが、実は最悪の地球加熱装置です。核燃料の分裂によって出る熱によって
発電を行う。その熱は海水を取り込んで冷やす。巨大な原子力発電所は熱を海に
全て捨てている。海水の温度はどんどん上昇している。海に住む生物の体系が変
化してきている。こんな傾向を調べるため海水の温度を30年毎日測定している大
学の教授がいるということ。こんな人こそ科学者と呼べる人。

200ページ位の短い本なので2,3時間もあれば誰でも読める本です。判りやすく良
く書けていると思います。この本の中で、今、大騒ぎになっている計画停電、電
力不足に非常に気になることが書かれています。
「原子力がなくても電力需給が逼迫しない」と。また私たちは東京電力と政府、
政治家にダマされるのか?

簡単にいうと発電施設の設備容量(発電できる容量)と最大電力(消費電力)は
原子力発電所がなくても需要を満たすことが出来る。しかし原子力発電を推進し
てきた東京大をはじめとする「原発村の住人」のメシのタネのために原子力発電
所がなければ停電になってしまうと長い間言い続けていた。下記の資料を見ると
驚愕すると思います。また夏場に最大電力が昼間に発生する。そしてそのために
各家庭の皆さんに節電をと。

この本の資料によると昼間には各家庭の消費は最低ライン、企業、産業用がピー
クになっている。したがって瞬間的に最大になるピークは企業が少なくしないと
いけない。ところ東京電力、テレビはまったくとんちんかんなことを言っている


原子力発電は急に電力の制御ができない。したがって深夜に電力消費が小さくな
ると発電を止めないといけないので深夜の電力利用、ダムに水をくみ上げる(揚
水発電)を盛んに進めて来たという経緯があります。火力発電は需給の調整は容
易にできる。今回の電力不足、実は原子力発電を擁護するための一つのジェスチ
ャーという面もあるような気もします。火力発電のコストの4倍のコストが掛かっ
ている原子力発電が本当に必要だったのか?(化石燃料が枯渇すると脅し続けて
きました。でも)

この本のデータだけで鵜呑みするのは危険なので電力関係の整理した資料です。
http://www.fepc.or.jp/library/data/infobase/pdf/infobase2010.pdf

広瀬 隆 著『二酸化炭素温暖化説の崩壊』 第2章 より抜粋
----------------------------
【図64】 発電施設の設備容量と最大電力の推移
  http://www.exblog.jp/blog_logo.asp?slt=1&imgsrc=201103/13/26/f0126826_23352815.jpg
【図65】 2008年度の発電実績(設備利用率)
  http://www.exblog.jp/blog_logo.asp?slt=1&imgsrc=201103/13/26/f0126826_23435287.jpg
【図67】 夏における電力の消費者の分布
 http://pds.exblog.jp/pds/1/201103/15/26/f0126826_7173434.jpg
 
   ≪≪ では何故、電気の3分の1が電気だと宣伝され、原発がないと停電するか
のような脅しが電力会社によって語られ、新聞とテレビがそれを引用するかと言
えば、【図65】のように、原発だけは強引にフル回転して、発電量の比率を高め
る悪知恵を絞ってきたからである。この3枚のグラフを見ていると、実は面白いこ
とに色々気付くはずである。火力と水力は、立派な発電所を持ちながら、大部分
が休んでいるのだ。では何故、これほど無駄な火力発電所や水力発電所を持たな
ければならないのだろう。

    注意しなければならないのは、この2008年度の原発の稼働率が60%という低
い数字で、これでも動かせる原発を全てフル回転しての悲惨な現実だということ
である。原発はいつ止まるかわからない発電所なのである。その為予備に大量の
火力と水力を持っていなければならないのだ。かつては原発がフル稼働して80%
も使われていたが、その場合(図65中B)を考えても、休んでいる火力を動かせば
、原発の発電分を楽々まかなえる。このように実際には不要ながら、原発必要論
の口実にいま最も悪用されているのが、二酸化炭素温暖化という土台から崩壊し
た仮説だったのである。

34704
福島原発関連 / 放射能漏れ
« 投稿日:: 3月 01, 2013, 06:51:40 pm »
放射能漏れ(2011.04.13)

 ちょっと原発問題に追いていなかった。下記のニュースをみてびっくり、安全
に対する「風評」を拡大してはいけませんが、食品、水については基準以上、基
準以下で判断するのではなく、基準以上の出ている周辺は警戒した方が良いと思
います。一つの野菜が基準以上ならば、隣の畑の違う種類の野菜も同じだと思っ
た方が良い。放射能漏れはデジタルの1か0ではなく、アナログです。基準以上=
101 基準以下=99でもその差は僅かです。風向、潮の流れによってどのようにも
変わるもの。また正確な予測、シミュレーションは今の科学では出来ないこと。
まして長期に渡っての影響などよく分からない。この事故で基準を勝手に変える
ような政府を信用しない方が良い。
福島県のホームページで放射線モニタリングの結果を表で掲載しています。残念
ながら原発周辺のデータがどこを探しても出てこない。周辺部から推測するしか
ないところです。(またいつまで続くのかもよくわからい)1年位のスパンで警戒
した方が良いように思います。(特に若い女性、子ども、赤ちゃん、妊婦は)60
才以上はどうでも良い。農家生産者が気の毒なことと、事実は別ですよ。

【放射能漏れ】17地点で「毎時10マイクロシーベルト」超え 福島県
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110413/dst11041321040058-n1.htm

普通の人の限度(1mSvを大幅に超えています)
1年間の被曝線量は87.6mSv(10uSv/hの場合)
健康に害が出るレベルです。(白血球減少)プロでも超えてはいけないレベル。
(100mSv→250mSv)
1年間の被曝線量は350mSv(40uSv/hの場合)

武田邦彦 (中部大学): 原発 母の役割
http://takedanet.com/2011/04/post_1d9d.html

平成23年東北地方太平洋沖地震による被害状況即報
http://www.pref.fukushima.jp/j/index.htm
福島県放射線モニタリング小・中学校等実施結果(全調査まとめ)について
http://www.pref.fukushima.jp/j/schoolmonitamatome.pdf


34705
本に出会う / 井沢元彦の戦乱の日本史
« 投稿日:: 3月 01, 2013, 06:50:05 pm »
書名:井沢元彦の戦乱の日本史
著者:井沢 元彦
発行所:小学館
発行年月日:2009/12/6
ページ:253頁
定価:1300円+税

日本の戦乱(桶狭間の戦い、本能寺の変、物部・蘇我の戦い、日露戦争などいろ
いろ)を題材に、今までの歴史で定説、常識というものを再分析、評価し直して
いる。乃木大将は名将か?愚将か?旅順攻略に15000人の戦死者を出して愚将とい
うのが定説ですが、第一次大戦でフランスのベンダン要塞攻防戦ではドイツ、フ
ランス軍合わせて26万人の戦死者をだしている。

要塞を攻略は大変なこと。旅順攻略がベンダン要塞攻略の後だったら、間違いな
く乃木は名将と言われていたのではないか。白虎隊というと会津城落城、若い少
年隊員が全滅したという先入観があるが、実は白虎隊は総勢305人そのうち切腹し
たのは19人に過ぎない。それも城の方角から黒い煙が見えたのを会津城が落城し
たと勘違いから。

河井継乃助(北越戊辰戦争)は司馬遼太郎作品「峠」では褒めまくっているが、
戦いの行きがかり上やむを得ないところもあるが、長岡の地を焦土と化した責任
は大きい。武士としての意地は通したが、徳川慶喜のように武士の意地は通せな
かったが江戸城無血開城したのに比べてどうか?難しいところ。

明治維新の立役者として薩長土肥といわれるが、肥(肥前)にはどんな人がいた
だろう。大隈重信、江藤新平等はいるが活躍したのは維新後。でもなぜか薩長土
肥と言われる。その理由は肥前は西洋化が一番進んでいて官軍に優秀な武器、兵
器を供給したという貢献があった。大きな事件、小さな事件にもいろいろと解釈
の違い、視点の違いが発見できる。桶狭間の戦いで織田信長は甲州武田の騎馬軍
団を壊滅させる。鉄砲の音に驚いた馬が制御不能になったためではないかと著者
はいう。馬はデリケートな動物さもありなんと言う気もします。

34706
本に出会う / 讃歌
« 投稿日:: 3月 01, 2013, 06:49:32 pm »
書名:讃歌
著者:篠田 節子
発行所:朝日新聞社
発行年月日:2006/1/30
ページ:355頁
定価:1700+税

ヴァイオリンの演奏で天才少女と騒がれ、日本国内でのコンクールの優勝、海外
のコンクールでも二位になった柳原園子は、高校を卒業してアメリカ西海岸に留
学。そこでカルチャーショック、自分の才能の限界の壁に突き当たって自殺未遂
を起こす。その後日本に帰ってきて両親に支えながら、後遺症に苛まれ20年以上
寝たきりの生活。そんな彼女が教会、老人会などでヴィオラの演奏をはじめてい
た。その演奏会は口コミで小さく広がっていた。

そんな演奏会で「シューベルト アルベジオーネソナタ」を松平千恵子という音
大の教授の伴奏で柳原園子がヴィオラを演奏する。それを聞いた小野は感動的な
フレーズに思わず涙する。小野の仕事はテレビ局の番組を請け負っている映像会
社のプロジューサー補佐。柳原園子に興味をもったかれは彼女の半生を取り上げ
たドキュメント番組を企画する。その番組によって一躍時の人となった柳原園子
。ひとつのサクセスストーリーですが、その後は篠田節子得意の反転が。

話は緻密でよく練られていてストーリーの展開も見事、欠点もない物語ですが、
その中に人間が出てこない。第三者的な登場人物ばかりという感じがした。読ん
だ人を動かすなにかがない。段々プロ作家の悪い癖を身に付けてしまった感じが
した。これは作家の人間の幅の狭さかなという気がする。本と人とのインタビュ
ーの資料集め、それも作品の流れに沿ったものばかり集めた結果か?遊びがない
、ぎすぎすした作品になっているように思う。

34707
本に出会う / マイウェイ 原山渓に学ぶ公共貢献物語
« 投稿日:: 3月 01, 2013, 06:49:09 pm »
書名:マイウェイ
   原山渓に学ぶ公共貢献物語
著者:原三渓市民研究会
発行所:財団法人はまぎん産業文化振興財団
発行年月日:2011/1
ページ:98頁
定価:非売品(無料配布)

横浜と原三渓は切っても切れない縁で結ばれています。生糸商で財をなした原善
三郎の娘の養子として入籍した青木富太郎。原三溪の業績は一杯あるけれど、生
糸の直輸出(それまでは外国の商社経由)の道を開いたこと。生糸価格が暴落し
たときに、その安定を図るために生糸関連者合同の株式会社を組織してその暴落
防止に努めた。関東大震災における経済の壊滅的な下落にたいして経済振興をお
こなった。

「私」は後「公」が先の精神。特にお金の寄付等ではなく、経済、復興の仕組み
作りに奔走した。人脈も豊富、また協力者も沢山いた。三溪の人徳のなすところ
か。また新進の芸術家を三渓園に寄宿させて自由に画才を開花させた。また骨董
趣味だけではなく価値のある芸術品の発掘、保存に力を尽くした。今の三渓園に
はその芸術品が残されている。
原三溪の業績の中から公共貢献に絞って概要を紹介している小冊子です。なかな
か良くまとまっている。横浜市の区役所で手に入れることが出来る。

34708
本に出会う / 天地人
« 投稿日:: 3月 01, 2013, 06:48:36 pm »
書名:天地人(上)
著者:火坂 雅志
発行所:NHK出版
発行年月日:2008/12/10
ページ:292頁
定価:850円+ 税

書名:天地人(中)
著者:火坂 雅志
発行所:NHK出版
発行年月日:2008/11/15
ページ:333頁
定価:850円+ 税

書名:天地人(下)
著者:火坂 雅志
発行所:NHK出版
発行年月日:2008/11/15
ページ:282頁
定価:850円+ 税

「北越軍談付録 謙信公語類」に『輝虎(謙信)公の曰く。天の時、地の利に叶
い、人の和ともに整いたる大将というは、和漢両朝上古にだも聞こえず。いわん
や、末代なお有るべしとも覚えず。もっとも、この三事整うにおいては、弓矢も
起るべからず、敵対する者もなし』とある。ここから題名の「天地人」となった
ようです。

主人公の直江兼続、少年の頃から才知並ぶ者なく、将来を見込んだ政景夫人の仙
桃院によって、六歳の時に景勝の小姓となる。この時、景勝は十一歳。上杉景勝
の幕臣としてともに謙信亡き後、上杉家を残すことに一身を捧げた武将。その行
動の基本とするところは「義」「愛」。豊臣秀吉が亡くなった後の徳川家康の行
いには「義」はないと、天下分け目の関ヶ原の戦いを企画する。

敗れたのちの行動にも常に「義」で120万石から米沢30万石と大幅に削減されても
家臣をまとめて乗り切る。明治20年代東京の人口が70万人の頃、新潟県は170万人
、いかに新潟県は産業が盛んで多くの人々を養っていたか。これも謙信以降の産
業殖産、日本海航路、北国船、港。そして金山(甲斐の国武田氏より)を保有し
ていた。そこに謙信の経済的基盤があった。それらを一気に失っても米沢の地に
産業を興し、財政改善を行った直江兼続の力は大きい。後年(200年後)上杉鷹山
が出て財政復旧をおこなったが、実は直江兼続の行った事を忠実に守った。こと
によるともいわれている。越後の地はこんな人物を育てる土壌があったのかとい
う気がします。
作者の火坂雅志は新潟出身の人。随分前から郷土の人物を書きたいということで
、10年以上温めていたとか、作者の熱情が直江兼続に引かれているところが、ま
た面白い。第三者的でないところにこの物語を熱くしているように思う。


34709
書名:わが屍は野に捨てよ
   一遍遊行(いっぺんゆうぎょう)
著者:佐江 衆一
発行所:新潮社
発行年月日:2002/8/25
ページ:224頁
定価:1500円+ 税

藤沢に遊行寺(時宗)がある。放浪の人一遍上人であったので、一処に留まるこ
とをよしとしなかった。寺も住居も持たず遊行に日々をおくる。「南無阿弥陀仏
」「なみあみだぶつ」を唱えながら念仏札を配った。法然、親鸞から少し遅れて
出現した聖人。同時代に日蓮がいる。一遍上人の歩みを思想変遷ととも描いてい
る。なかなかの力作だと思う。末法の時代に出現した聖人たちが同じように考え
行動していくところがまた不思議である。

政治の乱れ、飢饉、災害、元寇と世の乱れに庶民は一遍上人の「踊り念仏」に熱
中していく、そした念仏往生。法然から流れている他力本願をより進めて、念仏
(なみあみだぶつ)を唱える続けると、人が念仏を唱えているのではなく、念仏
が念仏を唱えている。人はどこかに行ってしまう。他力の神髄をそこに求めた遊
行の人。一遍の壮絶な人生を描いている。

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没後の事は、我が門弟におきては葬礼の儀式をととのふべからず。野に捨ててけ
だものにほどこすべし(一遍聖絵より) 教信沙弥の生活の汗にまみれながらの
純粋な信仰と、その死を越えた境地の入寂は、「捨ててこそ」の一遍上人にとっ
ても理想のものであっただろう。

念仏の機に三品あり、上根は、妻子を帯し家にありながら、著せずして往生す。
中根は、妻子をすつるといへども、住処と衣食とを帯して、著せずして往生す。
下根は、万事を捨離して往生す。我等は下根のものなれば、いっさいを捨ずは定
て臨終に諸事に著して往生を損ずべきものなり。よくよく心に思量すべし。
(本書より)
現代語訳:念仏をする衆生には三段階がある。上の段階のものは、妻子を持ち家
に住みながら執着することなく往生を遂げる。中等の者は、妻子を捨てる(出家
)が、衣食住を離れず執着もしないで往生する。下等の者は、一切を捨てて往生
する。私などは下等の根機であるから、一切を捨てないと、きっと臨終の時にな
って、万事に執着して、往生をしそこなうはずである。よくよく心におもいめぐ
らせねばならない。
(一遍上人全集 播州法語集 春秋社より)

一遍上人は、自分を下根の者という。それは、再出家の根底、遊行の根底に流れ
る一つの澪(みお)だろう。寺も住居も食の当ても持たず、遊行に日々をおくる
聖は、いつの頃から執着を離れ、澄んだ機根となったのだろうか?
叩きのめすべきは私の下根。いつまで続けるのか貪瞋痴

34710
本に出会う / 夜明けの雷鳴 医師 高松凌雲
« 投稿日:: 3月 01, 2013, 06:47:13 pm »
書名:夜明けの雷鳴
   医師 高松凌雲
著者:吉村 昭
発行所:文藝春秋社
発行年月日:2000/01/10
ページ:291頁
定価:1524円+ 税

慶応2年当時フランスは軍事援助などを通じて幕府と結びついていたが、翌年開か
れるパリ万国博覧会に日本も参加するように要請してきた。幕府は展覧会への出
展を決め、将軍徳川慶喜の弟・徳川昭武を自分の名代として派遣して親善外交を
行わせ、その後留学させることとなったその随行員に高松凌雲は加えられること
となった。そこから彼の人生は大きく変転することになった。

パリ万国博覧会における日本の展示は大好評を博した。その後高松凌雲は「神の館
」と呼ばれたパリの市民病院で医学を学んでいた。貧民からは料金をとらない「神
の館」の運営に大変興味を持つ。その「神の館」は大富豪達、色々な人たちからの寄
付で成り立っている。進んでフランス語、フランス医学を学んでいた凌雲たちは
、日本から大政奉還のニュースを聞く。幕府が薩長を中心とする官軍に敗れ、将
軍慶喜も謹慎しているという報も入った。幕府が崩壊した以上、凌雲など他の随
行員は日本に帰らざるを得なかった。

江戸に戻った凌雲は、榎本武揚の幕府海軍で奥州へ逃げ延び、徳川の恩顧に応え
て、官軍に抵抗することに身を投じることになった。江戸を出港した艦隊であっ
たが、仙台など奥州の藩はすでに官軍に降伏したり恭順の意を表ており、やむな
く箱館へ行って北海道での再起を図る。ここで榎本は函館病院の頭取に凌雲を任
命する。
学んだ医学の先端技術を駆使するとともに、パリの「神の館」で学んだ富める者も
富まざる者も、また敵も味方も差別なく施療する精神を植えつけていく。日本の
医学に近代医療と呼べる精神を植え付けていく・・・・

その後の高松凌雲の生き方を決定的にした体験だった。函館戦争に従軍した一人
の医師の視点、また幕臣から幕末、明治維新の息吹が感じられる。勇気を与えて
くれる一冊ではなかろうか?吉村昭の本は面白い。

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